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Excelで多重比較まとめ|ボンフェローニ(Bonferroni)|サイダック(Sidak)|ホルム(holm)|ライアン(Ryan)

ボンフェローニ(Bonferroni)|サイダック(Sidak)|ホルム(holm)|ライアン(Ryan)の検定方法と,有意差の出やすさを比較しました


けっこう「Excelで多重比較検定するにはどうすればいいのか?」という記事を検索して読んでくれているようなので,このテーマに絞ってまとめてみました.

過去の関連記事を以下に示しておきます.

エクセルExcelでの簡単統計(対応のあるt検定と多重比較)

SPSSを購入するほどの余裕はなく,柳井久江 著 『エクセル統計』 が使っているコンピュータに入っていないけどExcelで統計処理をしないと,という場面に出くわした場合にご利用下さい.

多重比較用のエクセルのファイルを作っておくのもアリですね.



以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は,
このリンク先→「統計記事のエクセルのファイル」から,
「Bonferroni型の多重比較まとめ」
のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください.


さて,
さっそく多重比較のやり方ですが,以前の記事にもあるように,各群で2群の比較検定を行ない,p値を出します.

A群,B群,C群,D群の4群であれば,
【 A×B, A×C, A×D, B×C, B×D, C×D 】
の6通りです.

以下に例として図を示しました.


2群の比較というのはパラメトリック検定であればt検定(対応のある/なし,等分散性のある/なし).
ノンパラメトリック検定であればマン・ホイットニーのU検定(対応のない2群)か,ウィルコクソンの符号順位検定(対応のある2群)です.
※ノンパラメトリック検定のp値をエクセルで正面から取り組んで出すのは難しいですから,統計ソフトを使うことになるかと思います.

※後日,どうしてもExcelでノンパラメトリック検定のp値を・・・,という人のために,
マン・ホイットニーのU検定(エクセルでp値を出す
ウィルコクソンの符号付順位和検定(エクセルでp値を出す
を記事にしました.ご参考までに.


で,こうして出したp値を群の数に応じて修正・補正していきます.

補正の方法には以下のものがあります.

1.ボンフェローニ(Bonferroni)の方法

もっとも簡単なボンフェローニ型多重比較です.


=P値×組合数


p値に組み合わせ数(この場合6)をかけるだけです.
もっとも簡単なp値の補正方法です.

全部のp値を補正すると,以下のようになります.





2.サイダック(Sidak)の方法

SPSSでもおなじみの,有意差がでやすいボンフェローニ型多重比較です.

p値に図のような奇妙な式を放り込みます.


=1-(1-P値)^(組合数÷1)


ボンフェローニの方法の改良版とされています.

以下をご覧ください.
ボンフェローニの方法と比べますと,【 A×D 】のところはサイダックの方法では有意水準5%未満が認められました.

ギリギリのところで勝負する時には心強い方法です.





3.ホルム(holm)の方法

手作業の部分が多いけど,有意差が出やすいボンフェローニ型多重比較.

この方法は,p値が低いものから順に補正していくものです.
まずは0.0079である【 A×C 】に6をかけて修正します.


次は,2番目に低い【 A×D 】に5をかけて修正.


その調子で,3番目は【 B×D 】に4をかけます.


さて,そんなふうにして4番目の【 B×C 】,そして5番目の【 C×D 】をやりますと,


以下のように,有意水準5%未満を満たさなくなりました.
というわけで,ここで終了です.

【 A×B 】の組み合わせに着手する必要はありません.


p値が小さい組み合わせから順に,かける数値を小さくしながら補正していく方法です.
かなり甘めに補正してくれるので,有意な部分が多くなります.

SPSSなどに装備されている,あの有名な検定であるテューキー(Tukey)法でも有意差が出なかったら,これで検定をしてみましょう.
Holmの方法はSPSSには入っていませんので.




4.ライアン(Ryan)の方法

これもSPSSには装備されていませんが,有意差が出やすい検定です.

この方法はホルムの方法に似ていますが,補正をかけていく組み合わせの順番をp値の大小ではなく,平均値で決めます.

ということで,各群の平均値を以下に出しました.

【 C>D>B>A 】の順ですね.


補正していく順番は,4群であれば

1回目: 最大×最小
2回目: 第2最大×最小 & 最大×第2最小
3回目: その他

ということになります.

ライアンの方法では,
補正する数値が群数と何回目か?
で変わります.


その数値を導き出す式なのですが,数学や統計学がわかんない,という人のために日本語を多めにした数式をお見せします.

あんまりクールではありませんが,あしからずご容赦下さい.


=(群数×((群数-それまでの検定回数)-1)÷2


「それまでの検定回数」のところですが,1回目の検定であれば0ということで計算してください.


例であれば,まずは【 A×C 】です.4群なので6をかけます.


そのあとは,【A×D】と【B×C】.次は4をかけます.


あとはその他です.
2をかけます.


最後に,有意差の出やすさを比較してみた


ということで,4種類の多重比較検定を比べてみました.

0.05(5%)以下のところを赤く塗っています.

やっぱりホルムの方法が一番甘いようです.

これらをうまいこと使い分けてください.



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※最近,Tukey法とSteel-Dwass法による多重比較をExcelで行う方法を記事にしました.
ExcelでTukey法による多重比較
繰り返し数(N数)が異なる群を,Excelを使ってTukey法で多重比較する
ノンパラメトリック版Tukey法による多重比較「Steel-Dwass法」
Steel-Dwass法をExcelで計算する方法について,もう少し詳細に

※ダネット検定も紹介しています.
エクセルでダネット(Dunnett)の検定をやる方法

こちらも合わせてご覧下さい.



※後日,こんな怪しいブログよりも信頼性が高いものに触れてもらうよう,
独学で統計処理作業をスキルアップさせるための本
という記事を書きました.参照してください.

外部サイトにも有益なリストがあります.こちらも参考にしてください.
大学生が自力で「統計学」の勉強をするための良書10選
1ヶ月で統計学入門したので「良かった本」と「学んだこと」のまとめ






エクセルや手計算で多重比較をしたい方は,以下の2冊がオススメです.
 

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