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もう一度,森友学園問題をまとめてみた

昨日記事を書いた後にも,これに関するニュースが続いています.
いわゆる森友学園問題です.

たとえばYahoo!ニュースには,ネット閲覧者らが書き込める「コメント」の機能がついていますが,そこでは様々な議論が展開されています.
なんだかデタラメな議論も混ざっているので,ここで改めて森友学園問題を整理してみましょう.

なお,前回記事と,
やっぱり森友学園とか加計学園問題は議論している場合だった
過去のまとめ記事はこちらです.
森友学園問題をまとめてみた

過去のまとめ記事でも書いたことですが,この問題で最も重大な部分は,
「なぜ,9億5600万円の土地が1億3400万円で購入されたのか?」
ということと,最近になって出てきた問題として,
「なぜ,決裁文書を書き換えたのか?」
ということです.

土地売買に政治家が関わったことを問題視したり,それに対し「土地売買に政治家が関わること自体は問題ない」などと論争になっていることも見かけますが,こんなことどうでもいいことです.

この問題の本丸は,土地が不当に安く売買されたことと,そのプロセスに大きなパワーを持った人物の関与が見えること,そして,不可解な決裁文書の書き換えが行われたことです.

約8億円もの値引きが可能だった理由として妥当なものは,
(1)事情があって,この土地だけ安い
(2)安く購入できるようにした人がいる
ということになるでしょう.

(1)については,籠池氏は「ゴミが埋まっているから」という理由を挙げて交渉していましたが,後にこれはデタラメであったことが判明しています.
しかも,この「ゴミが埋まっているから値引きしろ」という要求については,交渉相手である近畿財務局は,当初「そんなこと言われても困ります」と突っぱねていたようです.
ところが,最終的にはこの要求が通って約8億円の値引きに成功します.
つまり,無理筋だった要求を通した,(2)の人物がいる可能性が非常に高いわけです.
※詳細は前回記事をどうぞ.

(2)の人物としては,問題発覚直後である昨年に有力視されていたのが,
・安倍晋三(および昭恵夫人)
・松井一郎(および橋下徹)
・稲田朋美
といった面々でした.
今では,安倍晋三および昭恵夫人が非常に有力視されておりますが,私としては松井一郎と橋下徹(および維新の会関係者)もかなり怪しいと思います.
※っていうか,ここだけの話,維新の会関係者が一番臭います.

というのも,前回記事で少しだけ触れたことですが,学校・大学といった教育機関の設置には,非常に冗長で慎重な手続きを踏むプロセスがあります.
一時期,大学設置認可が下りるはずだったところに,田中眞紀子とかいう迷惑オバサンがスタンドプレーのために認可取り消しをしたことがあって,それが大問題になったことがありますよね.
大学設置不認可について,大学教員として言いたいこと
あの当時,一般の方々やメディアの一部からは,認可の途中段階なのに建物が出来上がっているとか,教職員の採用が決まっているというのは不自然ではないか? という指摘がありましたが,そんなことは,この業界では極めて普通のことであり,むしろ,そうでなければ開校・開学はできないことは常識です.

つまり,教育機関の設置というのは,土地売買や校舎建築,教員人事などが足並みを揃えて行われていくのであり,「開校する」ことが内定すれば,プロジェクトチーム(学校設置担当者)は1〜2年間は天手鼓舞になって手続き処理に追われるものです.

逆に言えば,教育機関の設置をスムーズに進めるためには,開学の内定をもらうことが非常に重要ということになります.
内定をもらいさえすれば,あとは「内定」を錦の御旗として多少の強引な手段もできます.

ですから,籠池氏が国会に証人喚問された時に言った「松井一郎氏にハシゴを外された」との発言はよく理解できます.
籠池氏としては,大阪府知事の松井一郎氏をはじめ,安倍昭恵夫人その他の政治家から口利きを受けて「開校内定」をもらっているのだから,土地売買や補助金利用等については,後で帳尻合わせができると考えて強引な手法をとっていた可能性があるのです.
それを匂わすのが,証人喚問でのこの発言です.詳しくはリンク先を御覧ください.
詳報(8)「松井一郎大阪府知事にハシゴを外された」「アヒルの水かき運動のごとく近畿財務局に何回も何回も…」(産経新聞2017.3.23)

つまり,こういうこと.
松井一郎氏をはじめとする政治家の口利きによる学校設置として,土地取得のため近畿財務局に圧力をかけてもらった.その時の値引きの交渉材料はなんでもよく,もっともらしい「ゴミが埋まっている」というネタを思いついたので,それを使った.
いよいよ開校に漕ぎ着けようとしていたところ,不正な土地売買がニュースになってしまい,これに乗じて松井一郎氏が掌を返してきた.
といったところでしょうか.

もちろん,本件が「松井一郎」という小者一匹だけで成り立っているとは思えませんので,そこに安倍昭恵夫人がからんでいるであろうことが推察されるわけですよ.
実際,昨日になって提出された「書き換える前の決裁文書」からは,政治家や安倍昭恵夫人の名前が消されていましたが,私がそれよりも重要だと思うのは,「事案の経緯」とか「土地売買の経緯」「契約の経緯」がバッサリと削除されていることの方です.
書き換え前後の決裁文書がウェブで公開されています↓
【全文書を比較】森友文書の改ざん前後(毎日新聞)

これを見比べれば一目瞭然で,籠池氏と大阪府および近畿財務局とのやり取りが,書き換えられた決裁文書では分からない状態になっています.
実際,上記リンク先の22ページの土地売買に関する経緯の削除された部分では,9億5600万円の土地が1億3400万円になった理由が書いてありました.
そこにはこうあります↓
学園の提案に応じなかった場合,損害賠償に発展すると共に小学校建設の中止による更なる問題発生の可能性があることも含めて,当局及び大阪航空局にて処理方針を検討した結果,学園の提案に応じて鑑定評価を行い価格提示を行うこととしたものである.
素人目に見ても,ここには何かしらのパワーが働いていますよね.

ニュースにもなっていますが,こうした書き換えは政府の国会答弁に合わせて改変されている可能性があるとのこと.
もしそうであれば,これは議会政治の根幹を壊す重大な事件です.
近代日本最大規模の政治犯罪と言えるでしょう.

例えば,安倍晋三の「私や妻がですね,この認可,あるいはこの国有地払い下げにですね,もちろん事務所も含めて,一切これは関わっていないということは明確にさせていただきたい(2017.2.16)」という発言は,書き換え前の決裁文書にある,
なお、打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた。」との発言あり。
という文言と整合性がとれなくなってしまいます.
当然のことながら,この文章だけでは安倍昭恵夫人が小学校の認可や土地売買に関わっているとは言えません.しかし,それを匂わす文章があると,あとで政治家やジャーナリストに調べられた時に突っ込まれる恐れがあるので,それを未然に防ぎたかった可能性が高いですね.
となると,書き換えは官僚自身の保身からではなく,彼らの人事権を握った政府,もっと言えば安倍晋三からの圧力と考えるのが素直な解釈です.実際,世間はこの話題で持ちきりですから.

あとは,こうした「これまでの経緯」の記録を詳しく知られては困る人からの書き換え指示があった,というもの.
書き換え前後の決裁文書を読んでもらえれば分かりますが,書き換える前の文章には,経緯や手順が事細かく記録されています.
どうしてこんなに丁寧な記録をバッサリ切り捨てなければいけなかったのか.と考えると,やっぱりこれらのどこかに不正な口利きを読み解くヒントが隠されている可能性が高いわけです.
で,その記録を最も読まれてほしくないのは,大阪府を牛耳っていて,森友学園・籠池氏と懇意にしていた政治家ではないのか? というのが私の見立てです.