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選択的夫婦別姓制度を容認する人が増えているとのこと

選択的夫婦別姓制度に賛成する人が増えているというニュースがありました.
選択的夫婦別姓「容認」4割超 「必要ない」は3割切る(朝日新聞2018.2.10) 
内閣府の家族と法制度をめぐる世論調査で、夫婦別姓を選べる「選択的夫婦別姓制度」を導入してもよいと考える人の割合が過去最高の42・5%だった。導入する必要はない、と答えた人は過去最低の29・3%。ただ、政府は「国民の意見が大きく分かれている」として制度の導入に慎重な姿勢だ。
私も容認派です.
事情があって,結婚した後も別姓であることが良いという人もいるでしょうから,そういう人への選択権として妥当だと思います.

ましてや,マイナンバー制度が始まった現在,今さら「姓」が持つ個人特定機能に頼ることもないでしょう.
逆に言えば,マイナンバー制度を採用しないのであれば姓の価値はあるかと思いましたが,状況は既に完了していますので.


夫婦別姓に反対している人は残念だと思いますが,この問題は最終的には,「選択的」ではなく「義務的」夫婦別姓制度へと進むことになります.
私はそれでもいいと考えていますし,究極的にはその方がいいと思っています.
夫婦になったから同性になりましょう,などという管理方法は,マイナンバー制度が実現した現在においては明らかに無用です.


ただ,社会制度が急激に変化することは望ましくありません.
ゆくゆくは夫婦別姓制度の社会になることが予想されるとは言え,そのためのスモールステップとして「選択的夫婦別姓制度」を採用することは適切だと思います.

私としてはむしろ,どうして日本が明治時代以降から「夫婦同姓制度」を採用したのか,そこが気になります.

よく,ウヨクの人が「夫婦別姓にすると日本の伝統が破壊される」と叫ぶのを見かけますが,あれはデマです.
明治時代以前の日本は夫婦別姓だったというのは,この問題を論ずる時によく出てきますよね.

ですから,選択的夫婦別姓制度というのは,家族のあり方を日本古来の伝統に戻すという意味があると言っても過言ではないんです

きちんと調べれば当時の経緯を研究している資料が出てくるのかもしれませんが,面倒なのでやってません(機会があれば調べてみますが).
もしかすると,近代化を急ぐ日本が,憧れの「欧米」で用いられている夫婦同姓制度を強制適用したのかもしれません.
だとしたら,さもしい話ですね.


この夫婦同姓制度は欧米化と近代化を進める上では効果的に作用したかもしれませんが,個人情報の管理が容易になってきた時代にはいささか冗長過ぎる制度です.
夫婦同姓制度とは,言うなれば,個人情報を把握して管理する作業を,家族(ファミリー)という共同体(コミュニティ)に委任することで,それらを統治しているより上位の管理者(国,領主)の作業の煩雑さを回避しているという側面があります.
しかし,今後さらに家庭の在り方や人生観の違いが表面化してくるであろう中にあって,姓名の扱い方がこれまで通りで済まされるとは思えません.


もちろん,数年後に「選択的夫婦別姓制度」,十数年後には「義務的夫婦別姓制度」にしようなどと急進的な話をしたいわけではありません.
夫婦別姓が義務的になるのは,50年〜100年後の話ではないかと思っていたりします.
もっとかかるかもしれないし,ずっと「選択的」なままかもしれない.

私が言いたいのは,「夫婦同姓制度」に日本の文化や社会を守る力や機能などないし,これによって個人や社会の幸福に繋がるわけでもないということです.
むしろ,急激な夫婦同姓制度の導入によって,日本の文化と伝統が破壊されてきた可能性もあります.


よく,
「夫婦別姓になると,子供の姓をどうするか問題になる」
とされていますが,これにしたって,現在でも離婚や国際結婚などで直面している問題ですし,むしろ日本社会は既にこの問題への対処には順化していると言ってもいい.

仮に「夫婦別姓制度」が始まったとしても,それを採用した夫婦・家族の圧倒的多数は,「父方の姓を使う」という日本の慣例に従うことで落ち着くであろうことは容易に推察できます.

子供が成人した時などに,その子供にどちらの姓を使うか選択させる権利を与えてもいいでしょう.
これに関連して,日本には数世帯しか残っていない貴重な姓がありますが,それを守る上でも夫婦別姓制度が働く可能性もあります(守る必要があるかは微妙ですけど).
生まれてきた子供に,
「お母さんの姓は日本に僅かしかいない珍しい姓なんだけど,これを継いでみる?」
とか,そんなことも想定されます.


より前衛的な話をすれば,両親の「姓」にこだわる時代もなくなるのかもしれません.
かつての日本では,何か特別な事があれば姓も名も変えていました.
例えば徳川家康は,幼い頃は「松平竹千代」,若い頃は「松平元信」「松平元康」と改名していましたし,坂本龍馬も「才谷梅太郎」や「西郷伊三郎」という変名を使っていました.

マイナンバー制度が発達してくれば,そんな「日本古来の名前についての伝統」が再び可能になるかもしれません.


実際,たとえば私のご先祖様は,今から400年前までは違う姓を名乗っていたんです.
それまでは結構普通な姓だったんですよ.
ところが,ある有名な歴史を動かす合戦で功績を上げたらしく,直属の上司から姓の変更を勧められて,以後,現在の姓になりました.
ちなみに,この経緯はウィキペディアにも載っています.
※なお,どうして我が一族が四国の山奥に隠れるように住んでいるのか? というと,そのきっかけを作ったのは織田信長でした.織田信長は一族の敵です.


夫婦別姓制度に対しては,「先祖代々の姓を失うことになる」という反対論もありますが,日本では何かしらの理由で姓を変えている人は大勢いるのだし,そもそも明治以前は姓を持っていなかった人もたくさんいます.
それでもご先祖様はちゃんと辿れるんです.
ましてや,戸籍情報がしっかりしている現在においてはなおさら,これから姓を変えたくらいで血統が分からなくなるなんてことはありません.

というわけで,その人が「どうしても」と希望したり,もしくは大偉業を成し遂げた人が希望すれば,何かゆかりのある姓を新しく名乗る時代がくるでしょう.
今にしたって,正当な理由があれば「改名」は認められています.誰も彼もがいい加減に改姓することは規制したほうが良いとは思いますけど,現在の改名のように,「改姓」できるようになるのも時間の問題かと思います.

そう,この問題は,時間の問題だと思うんです.
今後議論すべきは,どのようにソフトランディングするか? そして,「姓」をどのように扱うのか?という話です.