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お盆休み:実家の様子

2017年お盆休みのご報告.次は実家についてお話しします.

実家に帰ってきますと,父が老後の楽しみとして建築している「あたご」という小屋があります.
何かあった場合の避難小屋としての機能も持たせるつもりのようで,かれこれ5年以上にわたって増改築しているものです.
父はこの地域の消防団に青年時代から長年勤めており,「あたご」という小屋の名前も,防火・防災のご利益があるとされる「愛宕神社」からとっています.
消防団の経験を活かし,この小屋の設計は「柱を強くし,屋根を軽くする」ことと,「一部は壊れることを前提とし,その修繕が容易」であることを重視しています.特に基礎と柱についてはかなりの強度があります.

そういえば,父は消防団で特に悪さをせず,高齢を理由に退役しましたので,国からその長年の功績を認めてもらい,陛下より「瑞宝章」という勲章をもらっています.
いわゆる「国家又ハ公共ニ対シ積年ノ功労アル者」という理由です.
瑞宝章(wikipedia)

この「あたご」は,私も盆正月に帰るたびに人手が必要な作業をいろいろとやってきました.
昔は以下のように,壁がついていなかったのですけど(画像右端が小屋です).

これに板を貼り付けたのが2年前の冬.
板が新しいのできれいですね.



今年の正月には,さらに戸を付けて居住可能にしました.


現在の内装はこんな感じ.


ベッド,マッサージチェア,ラジオ,それに冷蔵庫もついています.
鹿の角とか尾長鳥の羽,ひょうたんなどが飾られており,完全に「男の隠れ家」へと進化しておりました.

あと,壁に使っているのは杉板なのですが,スギ材はとても軽い上に断熱と湿度調整能に優れているので,中はこの季節でも意外と快適です.軽さとか耐久性を得ようと化学素材を使うよりも,廃材みたいな杉板の方が居住性は高まります.

今年,高知県を襲った豪雨の際には,「安全な場所に避難してくれ」という自治体からの指示を受けて,ここに避難したそうです.
自治体も認める安全地帯.しっかり「避難小屋」としての機能も果たしています.
神棚も標準装備されているので安心です.

ちなみに,この「あたご」は電気や水道が止まっても大丈夫なようになっています.
小屋の脇には山から水を引いておりまして,この水は飲むことが可能です.
もともと超ド田舎の農村なので水やエネルギー,食料の心配はないのですけど,あらかじめ準備しておけば,その時に楽ですから.むしろアウトドアのような非日常を楽しめるかもしれない.


ところで,「あたご」の各パーツや飾ってあるガラクタみたいのものですが,いずれも購入したものではありません.父が人づてに譲り受けてきたものがほとんどです.

今は双眼鏡にはまっているそうです.
三脚に双眼鏡を設置して,山や星を見るのが楽しみとのこと.

で,最近こんなものを手に入れていました.
バカでかい双眼鏡です.
ラベルを見たら,「ニコン 12cm 双眼望遠鏡Ⅱ型」とありました.
今では「ニコン 120mm双眼望遠鏡Ⅲ型(1983年)」という新モデルとして販売されている,ニコン製の双眼鏡です.
現行モデルであるⅢ型のお値段は約50万円ですから,かつてはⅡ型も高価だったことでしょう.

どこから譲り受けてきたのかというと,知り合いの漁師の人から「もう使わないから」ということで,もらったそうです.この双眼鏡は船舶用の装備品だったそうですよ.
ラベルにはご丁寧にも「15kg」と表記されています.重すぎて手で持って見ることは困難で,何かの台に設置しなければなりません.
目下,可動式の設置台づくりを検討しているとのこと.知り合いの鉄工所の人に相談するそうです.

ちなみに,双眼鏡の見心地ですが,同じ倍率の双眼鏡と比べてみました.
接眼レンズからiPhoneのカメラを覗かせ,撮影.

比べて見る先はこちらの山です.


まずは,上の写真の左端に見えている,安い双眼鏡で見たのがこちら.
ちょっと白く濁っているし,全体的に歪んで見えているのが分かるかと思います.
実際に覗いていると,見ていて目が疲れるというか,目の奥が痛くなってくるんです.

一方,双眼望遠鏡Ⅱ型を覗いてみたのがこちらの視野.
ぜんぜん違う! 極めて明瞭で歪みもない.凄いレンズです.
しかも,iPhoneで撮影しても分かるように,視界(見える範囲)がとても広い.覗いていても違和感がないし,目が疲れません.

ちなみに,上の写真で目標物とした枯松には,ノスリ(小鷹)が毎年巣を作っているとのこと.父はそれを眺めるのが楽しみなのだそうです.
ノスリ(wikipedia)
画像:wikipedia「ノスリ」より
ところで,今回のお盆休みを機会として,父が「この際に兄弟2人に教えておくことがある」ということで山に入りました.
なんでも,うちの山には山桜の巨木があるとのこと.父が子供の頃から認識していたそうですが,今まで無事に育ってきたそうです.
深い山の中でひっそりと立っている桜なので,誰も見ることはありませんし,そもそも知られていない.父が知っているくらいのものです.
桜の季節に入ったら,きっと神秘的な情景になっていることでしょう.


曰く,「あと何十年かしたら倒木する可能性がある」とのこと.
山桜はソメイヨシノと違って寿命が長いので,私達の代では死なないかもしれません.もし私達の代で倒れなければ,その後の代のために知らせておく必要があります.

いえ,これは「子孫への言い伝え」といった仰々しい話ではありません.
ようするに,倒木した時に,それを知らず放っといて腐らせたら100万円くらい損をするので,定期的に見に来ておけば儲けられるよ,っていう話です.これだけ大きな桜の木になると,材木として良い値段で取引されています.

現時点でバッサリ切るのはもったいないし,現状,お金に困っているわけじゃないから残しておいて,もっと大木になってから売ろうということ.
それが10年後になるか100年後になるか知りませんが,こういう希少な桜の木があることは知っておいて損はないですから.
私としては,売らずに我が家のテーブルにでもしたらいいのではないかと思います.