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井戸端スポーツ会議 part 40「いくつになっても現役」

今,こんなニュースが話題です.
マニー・ラミレス「感謝」独立L高知と契約合意(Yahoo!ニュース)
カズ、50歳Jリーガーへ 横浜FCと契約更新 誕生日2・26開幕戦(Yahoo!ニュース)
共通しているのは,
「かつてのスター選手が『現役』であることにこだわり,格下・低報酬のチームに所属してでもプレーすることを求めている」
ということです.

私の故郷・高知にマニー・ラミレスが来る.
「マニー・ラミレス 高知と契約」我が目を疑いましたが,どうやら本当のようです.

実のところ,「マニー・ラミレス」と言われても知らない人も多いことかと思います.
ラミレスというのは,メジャーリーグ史上屈指の野球選手です.
マニー・ラミレス(wikipedia)
メジャー通算成績:555本塁打,打率3割,OPS996(メジャー史上9位)というスーパースター.
もちろん44歳になる現在はパフォーマンスも衰えていますが,こういうスター選手が田舎の選手育成球団に所属することの意義は大きいはずです.

ラミレス選手は2013年には台湾球界,その後もメジャー傘下のマイナーリーグで現役を続けています.現役選手として契約してくれるところなら,どこへでも行くスタイルのようですね.これはこれで尊敬できます.

「老人は若者に道を譲れ」という意見もありますが,現役選手としてどこまで通用するのか挑戦するのもいいのではないでしょうか.本当に通用しないのなら契約できないのだし,生ける伝説が,衰えたとは言え身近にいることの恩恵は大きいように思います.

もう一つのニュースは三浦知良選手ですが,考えてみれば,日本サッカーもそうでした.
Jリーグ発足当初,なぜかサッカー界の至宝「ジーコ」が鹿島アントラーズに所属していたのを覚えている人も多いでしょう.
この時既に衰えていましたが,ジーコが日本サッカーに残してくれたものは大きかったですね.

意外と知らない人もいるかもしれませんが,実はジーコはサッカーが上手い親日家のオッサンではありません.
大学院時代の先輩にサッカーファンを自称する女性がいたのですけど,この人,ジーコがどういう存在なのか知らないでいました.
ジーコ(wikipedia)
ジーコが日本サッカーに及ぼした影響は計り知れません.
(昨今の様子を見ると,その貯金を食いつぶしてきた感がなくもないですけど)

いや,私はラミレス選手と三浦選手のニュースについて,「彼らの存在が日本スポーツ界のパフォーマンスアップに貢献してくれるのではないか」といった類の話をしたいのではありません.

こうしたプロスポーツ選手が,できる限り長く現役を続けることの価値です.
第一線で通用しなくなったら引退,競技としてのプレーをやめる.そうした選択をするスポーツ選手が多い中において,いつまでもプレーを続けることを選択してくれる人の価値についてです.
これは,「◯歳なのに,若い人に負けずこんなに活躍している」という点に着目したいわけでもありません.

そう言えば,ちょっと前に映画「ロッキー・ザ・ファイナル」の話をしましたね.
体育学的映画論「ロッキー・ザ・ファイナル」
その内容と近しいものがあります.

プレーするからには勝つことを目指すのがスポーツです.それがスポーツの楽しみであり,魅力でもあるのですから.
しかし,勝つこと自体に価値があるわけではないのもスポーツです.

身の丈にあった環境で,自分がやりたい事をやれるだけやる.
考えてみれば,ラミレス選手や三浦選手のスタイルは,ビジネスの論理と人間味ある生き方のバランスを見せてもらっているようにも思います.

自分の能力に見合った場所を選び,選んでもらい,そこで出来る限りのことをする.報酬以上のことをするわけでもなく,給料泥棒と言われるようなことをするのでもない.

「パフォーマンスが低下したのなら引退すべき」が幅を利かせる現在にあって,こうしたバランス感覚がこの人間社会に求められているのではないかとも感じるところです.