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今年もセンター試験の感想

センター試験が終わりました.
定期的にセンター試験の記事は書いていますので,風物詩として今年も書いておこうと思います.
センター後日
センター試験とか入試におけるアレコレ
センター試験とか入試におけるアレコレ2016

毎年のことですが,今年は特に我々への戒厳令が強かったように思います.
センター試験をやる大学では,事前に説明会が開かれるんですけど,そこでセンター試験担当者からいつも以上に「SNSにセンター試験の秘密情報を書き込まないように」という話が繰り返されました.
きっと,大学入試センターから各大学のセンター試験担当者へのお達しがあったのではないかと察しているところです.

本学教員にそんなことをしている人はいませんが,どうやらたくさんの大学教員がTwitterとかFacebookに「試験中なう」「今リスニングだよ(・ω<)」みたいなことを書き込んだり,試験実施要項(試験の手順を書いた説明書のこと)やその他資料の画像アップしてたりするんだそうです.

けしからんですな.
私みたいに,大人しく書いてればいいのに.

さて,このセンター試験ですが,過去記事で私は「やめればいいのに」という表現があるので批判的だと思われるかもしれませんが,センター試験そのものに対して悪く思ってはおりません.
例えば,
センター試験の廃止について述べておく
とかでも述べているように,これを廃止して新しい制度のテストを考えるにしても,現行のセンター試験のノウハウは引き継ぐべきだと考えております.

というか,私が「やめればいいのに」と言っているのは,わけわからん不思議なテスト方法のことです(リスニングとか同時複数受験とか,受験者対応とか).

ついでに言うと,センター試験を廃止して新しく考えられている例のテスト方法ですが,いやちょっともう勘弁してくれって感じです.詳しくは上の記事で述べています.
ちなみに,センターに代わる新しい方式はこちら↓
新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について(文部科学省)

この仕事を始めて10年近くになりますが,センター試験の業務について,取り仕切る役割(入試本部)以外は一通りの業務をやらせてもらいました.
その上で,どの役割がどんな感じだったのか思い返してみますと..,

1)主任監督者
私のなかでは一番楽でした.
教室環境とか監督者数(規模)とかにもよるんでしょうけど,一般的な試験場においては主任監督者が一番楽な役割だと思われます.
てっきり「主任」という立場だからしんどそうに思えますが,実は一番仕事が少ないのが主任です.

主な仕事は「指示文章を読み上げる」こと.他にも書類作成などの事務的作業がありますが,たいしたものではありません.
むしろ,その他の監督者の方が ,ミスできない緊張感に苛まれる仕事は多いように思います.というのも,受験者対応とか配布資料の確認といったものには主任は手を付けないからです.

あと,これは逆説的ですが,主任監督者はアレコレ考えながら試験場にいるので,時間が立つのが苦ではありません.「やりがいのある仕事」とでもいいましょうか.そんな気がします.

気をつけなければいけないのは,自分以外の監督者が全て「初心者」で,やや小規模教室だった場合.
監督者A「私,監督するの初めてなんです.よろしくお願いします」
私「へぇ,そうなんですか,よろしくお願いします」
監督者B「あ,実は私もなんですよ」
私「えっ,あ,そうなんですか.へぇ」
なんて状況になると,とたんに緊張感が増します.
やれることは全部自分がやった方が安心できます.板書も欠席確認も,別冊配布も問題訂正の周知巡回も,主任がやるに限ります.


2)監督者
主任以外の監督者ですが,センター試験に慣れてしまえばこれ以上無い辛い仕事になります.
緊張感も「リスニング」以外は全く無いし,時が経つのをただひたすら感じるだけの2日間になります.
私も「時が消える」ことを経験した口です.
時が消えるのはマズいので,リスニング以外では試験場後方でストレッチ体操に興じます.


3)検問
寒いです.寒いんです.
今年担当された皆様.お疲れ様でした.
検問する大学の「門」がどのような状態なのかにもよりますが,たいてい極寒に曝されるのが検問業務です.

たしかに試験業務のような緊張感はないかもしれません.
しかし,ただひたすら寒さに耐える2日間は,「俺も監督業務をさせてくれ」と言いたくなるほど厳しいものとなります.
ただ,一緒にずっといる警備会社の人と仲良くなることはできます.

ところで,知らない珍しい仕事をしている人に出会ったら必ず聞くことがあります.
「あなたの仕事で,一番つらいものはなんですか?」
というもの.
以前,センター試験の業務中,これを警備会社の人に聞いてみたんですよ.そしたら,こんな回答が返ってきました.

道路の建設工事などでは警備員を置かなければいけない義務があるとかで,たとえそれが山奥・森の中であっても,一定距離ごとに警備員が配置されるんだそうです.
誰もいない,たまにサルとかシカが現れるところで,ひたすら時が経つのを感じるだけの1日.
誰もいない,けど,何かあったら対処しなければいけないので寝るわけにもスマホいじったり読書するわけにもいかず,用を足すのも森の中.

「あと,もう一つあります」っていうので聞いてみたら,「コミケって知ってますか?」とのこと.「知りません」って応えたら,こういう不思議なイベント↓だということを教えてくれました.

なんでも,いわゆるサブカルチャー系の「オタク」が山ほど押しかけるイベントとのことで,その会場警備が非常に興味深いんだそうです.
この警備員さん,初めてそこの警備をした時が,違う意味で一番つらい仕事だったとのこと.

警備中,リーダーから無線連絡があるそうです,「怪しい奴がいたら報告するように」と.
でも,そこはオタクだらけの会場です.そのまま解釈したら「怪しい奴しかいません」

さらには,ミニスカートなど露出の激しい女の子にカメラを向ける,だけならまだしも,そのスカートの中を撮るような怪しい男がいるから,「おいっ,君.何をしている!」って制止したら,そのカメラ男ではなく,ミニスカート履いている女の子から「ちょっと,邪魔しないでよ!」って怒られたんだそうです.

「え!?」ってテンパってると,周りにはその他無数のカメラ男がたむろ.
よく見ると女の子もちょっと変わった風貌.今思えばそれがいわゆる「コスプレ」ってやつだそうで,この会場では,コスプレしている女の子のエロい写真を撮るのが恒例なんだそうです.
こんなところです↓
【コミケ91】初日の「美人コスプレイヤー写真集」24連発! 会場に降臨した女神をとくと見よ!!

警備したいものがなんなのかよく分からない.つまり,自分たちの仕事は一体何なのか判断に迷うような仕事が一番つらいんだろうな,「センター試験も同じですね」などと検問所で笑い合っていたら,「静かにしてください」と他の事務員さんから怒られました.