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皿鉢料理のある生活|高知県民は飲んでいるわけじゃない,豪華なだけだ

今日は終戦の日.珍しくテレビで「戦没者追悼式」を見たのですが,天皇陛下が会場を退室される際に,何度も振り返っては参列者に向かって会釈する姿が印象的でした.
今年が最後になるかもしれないと思っていらっしゃるからでしょうかね.

ちなみに,8月15日というのは前回まで取り上げていた「竹取物語」においてかぐや姫が月に帰った日でもあります.
不思議な偶然ですね.

さて,今私は高知の実家に帰省しています.
昨年亡くなった祖母の初盆だったこともあり,親戚一同が集まる機会もありました.
ここ10年来顔を合わせていかなった人もいますので,こういう機会は貴重です.
長机をたくさん出してきて大勢で一緒に昼ごはんを食べることになるのですが,その昼ごはんが「皿鉢料理」です.
この料理は最近は県外にも知られるようになりました.

大きな鉢皿に料理を盛り付けるというのが特徴だとされています.
何か特別な料理が盛り付けられるわけではありません.刺し身とか寿司とか煮物やフルーツなどが大きな鉢皿に盛られるので「皿鉢料理」と呼ばれるのです.

調べてみたら,やっぱり「皿鉢料理」は土佐・高知独自のものではなく,かつて(江戸時代から古代にかけて)は全国的に見られた「晴れ料理(イベント料理)」だったとのこと.
ただ,同じ集落共同体の人々が一堂に会して大きな皿の料理をつつくという風習が「郷土料理」という形で残るほど,飲み会好きなのが高知県民のようです.

以前もご紹介しましたが,高知県民はたしかに酒好きですが,飲用量はいうほど多くありません.むしろ,東京人のほうが高知県民よりたくさん飲んでいます.


一方で,高知県民の特徴は「酒を飲む時にかけるお金(飲酒費用)」が非常に高いんです.
ここんところの違い,結構重要です.

ようするに,高知の人はお酒を飲む際は料理を盛大に振る舞うということなんです.

よく県外の人から「高知の人はよくお酒を飲むから・・・」などと言われますが,そんなこと気にしたことありません.
上述したように統計上も東京人のほうが飲んでいますし,感覚的にもこれは納得できます.
東京のほうがよくお酒を飲みます.飲む機会がめちゃくちゃ多いんですよ.
それに,県外では「はしご酒」という奇妙な風習もあります.
「はしごは面倒だから一軒目で全力を出したい」というのが,少なくない高知県民の本音ではないでしょうか.
高知には「はしご酒」するほど飲み屋が多くないし,そういうことができるのは一部の酒好き・金持ちくらいじゃないですかね.

つまりですね,高知にはお酒をたくさん飲む文化があるわけじゃないんです.豪快な会食をする文化があるんです.そこには当然お酒が入ってきますから,県外の人からすれば「高知ではお酒を豪快に飲むんだなぁ」と思われたのでしょう.

以前,福岡出身の先生とお話した時に,「関東の人は酒の「つまみ」が貧相なのが気に入らない」と仰っていました.
飲酒費用ナンバーワンの高知県民である私も当然同意します.

こういうのは関東に限らないのでしょうけど,学会や出張などで全国行脚をしてきて感じるところでもあります.
逆に,酒のつまみ(もとい,肴)にこだわりたいのが西日本,中でも四国・九州ではないでしょうか.
ところが,少なくない地域ではフライドポテトとか枝豆,果てはポテトチップスとかナッツで済ます.挙句,ラーメン屋のテーブルに置いてあるなんだかよくわからない漬物を「酒のあて」として飲もうとします.
ようするに,ちょっとしたチビチビと「つまむもの」でお酒を飲むことが「粋」だという感覚がある.
でもね,これは四国・九州勢からすれば気が滅入るので勘弁してほしいんです.
「つまむ」くらいなら飲まない.

さて,初盆での飲み会ですが,そこでの話題のほとんどが甲子園大会かオリンピックなんです.
さすが,スポーツの話題は強力ですね.