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鳥無き島の蝙蝠たち(12)平賀源内

今日は「土用の丑の日」ということで,このキャッチコピーの考案者であるとされる「平賀源内」の名前をよく目にします.
この平賀源内も鳥無き島の蝙蝠の一人です.
現在の香川県・讃岐国を代表する天才であり,変人.
平賀源内(wikipedia)

典型的な「学者」で,おそらく一般人には理解されないであろう気質の持ち主です.
当然のことながら,こういう人が大学には多い.

私の母校にもそんな人がいました.
いつも爪を噛み噛み,急に「魔人ブウ」みたいな奇声を発したかと思うとそのまま走り去って行くのが常.
私が大学PC室で監視業務のバイトをしていたら,突然その先生が乱入,ひとしきり「やわらか戦車」についての持論を大声で展開.私としては「利用者の皆様のご迷惑となりますのでお静かにお願いします」などと言える暇もなく,「はあぁ・・」と呆気にとられているうちに「それじゃボクは帰る!」と言って帰宅していくのです.
たしかに天才でした.その道では凄い人なんですって.

その先生になぜか気に入られた私は,よく晩飯をおごってもらえました.
で,そんなある日,「なんでこんな大学に赴任したんですか?」って聞いたことがあります.
「ボクみたいな人間でも,最近は大学に職を得るのは難しいんだ.でも,ボクを採ってくれる大学は全国どこかに絶対あるので,そこから選んだ.ボクよりも天才はいる.そんな人と有名大のポストを争うほど無駄な時間はない.ボクは幸せに生きれればそれでいい.ここは好きにやりたいことがやれるところだしね.ボクの友達は(某有名)◯大に行ったけど,あいつ雑務が多くて死にそうだって言ってたよ.今じゃボクのほうが業績は上だよ.ザマミロって感じだよ.ヒャ〜ハッハッハ~(笑)」
ってテーブルを叩いて大笑いしてました.レストランの店員とお客さんが一斉にこっち見たのを覚えています.

学内に話し相手が少なかったんだと思います.
話を聞いてくれる私は貴重な存在だったのでしょう.
バイト先であるPC室の女性職員さんからは,
「あの先生をつけあがらせないでください.どんどんエスカレートします」
と注意されたこともあります.
いいじゃん別に民間のPCサービス業じゃあるまいし.

実際,この先生は女性達から嫌われていました.
理由は,「変な人だから」「変な声出して走ってるから」「動きがニワトリみたい」「トークがキモい」「生理的に受け付けない」ってことらしい.

でも,こういう人がいるから大学は魅力があるんだと思います.
ですから尚更,「一般的な感覚で運営経営をしろ」と命令された現在の大学教員の少なくない人が,平賀源内のような末路を辿るであろうことは予想に難くありません.
皆まで言いませんので,平賀源内がどういう晩年を過ごしたのかはご自身でお調べください.
学者は学者で好きにやらせればいい.それが本当の意味で,世のため人のためです.