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保育所問題を諦める

「諦める」シリーズを続けます.
ちょっと古い話題ですが,保育所問題についても触れておきたいと思います.

ココ最近,待機児童問題や保育士の待遇改善が話題になっていました.
それについて取り上げた記事も書いたことがあります.

上記記事では,
「そもそも保育所を増やしていることになっていないし,『増やした』という施設は保育所として満足できる水準じゃない」
ということ,そして,
「保育施設の増やし方に悪フザケが過ぎる」
ということです.

あまりにフザケた政策であることを指摘されまくったのか,安倍首相は保育士の待遇改善にも乗り出しました.
安倍首相、保育士の給与2%引き上げ方針を表明(JCASTニュース:2016.4.27)

もっとフザケているんじゃないかと思わされます.

ちなみに,「政府の試算では女性保育士の平均月給は26万8000円。」ということですが,そんなに高給取りな保育士,なかなかいないんじゃないですか? どういう集団で平均値をとったのでしょうか.

で,案の定それらを指摘されていました.

首相が表明した保育士給与2%引き上げ案に非難続出 「喧嘩売ってんの?」「たった2パーってそれだけ?!」(BLOGOS:2016.4.28)

いえ,私はここで安倍首相を糾弾したいわけではありません.彼がこんな感じなのは今に始まったことではありませんから.
ある意味,予想通り.
「保育士の給与を増やす」という手段は講じてくるだろうなと思っていましたし,それが「微増」であることも想定の範囲内でした.ただ,その微増っぷりが予想以上だったことには笑いましたが.

私が保育所問題を「諦めよう」というのは,どいつもこいつも「もっと保育所を増やせ」とか「保育士の待遇を良くしろ」という指摘ばかりだからです.

天下の朝日新聞が指摘している通り,今回の保育所問題の発端である待機児童というのは,「共働き家庭の増加」です.
朝日新聞:「待機児童問題」

保育所に預けなければならない「子供」が増えたのは,「家庭」の事情によるのです.
だから,この問題を改善しようとするなら,「家庭」にターゲットを当てなければなりません.
すなわち,一人あたりの所得拡大.具体的には,両親のいずれかの給与で子育てできるようになることが待機児童問題の改善目標となります.

そもそも,保育所は福祉施設ですから,本来なら無いほうがいいものです.のっぴきならない事情により仕方なく存在する施設と言ってもいいでしょう.
保育所に預けなければならない子供が増えちゃった.あぁそうか,だったら保育所を増やしましょう.ってのが,どんだけトンチンカンなのか気づくべきです.

ところが,「保育所を増やす」「保育士を厚遇する」という対処方法が大手を振って了解されている絶望的な状況がここにはあります.

これはつまり,「保育所に預けなければならない子供」を増やしたい勢力が存在するからです.具体的には,女性の社会進出を願う勢力と,保育ビジネスを狙う勢力に他なりません.

女性の社会進出と言えば,左翼・革新派の伝統芸です.その代表が現政権の安倍首相でしょう.
彼らは「嬰児は母親のもとで育てられるべきだ」という考えに否定的です.
女性の社会進出を妨げる「子育て」を回避するため,保育所を充実させることを望むのです.

一方,保育ビジネスを狙う勢力は,保育関連の規制緩和を望みます.安価な労働力として外国人労働者を求め,ベビーシッター業を展開できることを期待しています.
その代表が現政権の安倍首相です.
保育施設は足りなければ足りないほど嬉しいのが彼らです.「嬰児は母親のもとで育っては困る」と考えています.

あぁ,結局やっぱり安倍批判になってしまいました.
でも,そういう次第です.
ようするに,保育所をどんどん増やさなければならない流れを作りつつ,しかしそれは待機児童問題が解消されては困るという渦を形成しています.
絶望的でしょ?

そんな安倍政権・自民党の支持率が上がっていると報じられます.
政治意識月例調査 2016年(NHK2016.5)

保育所問題は諦めるしかありません.
そのうち,「保育士が自殺」とか「児童虐待が増加」といったニュースで本件は再燃するでしょう.
その時また取り上げたいと思います.


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