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5月, 2016の投稿を表示しています

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停戦命令が出た後で

これまでウヨクの話が続いていましたが,少し離れてみたいと思います. ウヨクの人でもちょっと興味があるかもしれない,太平洋戦争(大東亜戦争)でのエピソードです. 私の母方の祖父は,生きていれば110歳になっています. 今から70年前の戦争中は海軍で各地を転戦していたそうです. 戦争の話はほとんどしない祖父でしたが,たまに思い出したように話すことがありました. 今回はその話の中の一つをしたいと思います.お暇でしたらお聞き下さい. 停戦命令,いわゆる8月15日の玉音放送が出た時のお話 です. 祖父の家には海軍時代の写真が飾ってあります.30代半ばの頃でしょうか. 今の私にそっくりなんです.祖母もそう言います. 当時,祖父はめちゃくちゃモテたそうです.私も生まれた時代が違えばモテたのでしょうか,残念でなりません. 祖父は戦闘艦の魚雷を撃つ担当で,下士官をしていたそうです. 私もあまりその辺は詳しくないので確かなことは言えませんし,当時の状況をよく知らないのですが,たぶん「水雷士」っていうポジションでしょうかね. 詳細はこちらを参照下さい→■ 護衛艦 (wikipedia) 巡洋艦とか駆逐艦とか,あと潜水艦.そんなのにいろいろ乗っていたそうです. 話を聞いてる中で唯一艦名を覚えているものとしては「衣笠」という巡洋艦です. ■ 衣笠(重巡洋艦) (wikipedia) 元広島カープで野球解説者の衣笠祥雄と関連付けて覚えています. いよいよ切羽詰まってきたことを感じる1945年・夏. 戦闘艦の乗組員も「もう自分の命は短いだろうな」という雰囲気が漂っていたそうですよ. でも,そんな中でも九死に一生を得ることもあるわけで. 長崎の軍港に補給と修理に戻っていた時のことです. 修理が完了するまでまだ日があると思ってゆっくりしていたところ,あっという間に召集がかかります.すぐに出港とのこと. なんでまたこんなに早くに出港するのかと港の者に問うと,「修理するための資材がないから,とりあえず港を出てほしい」ですって. 「あぁ,これが私の最後の出撃だ」と,そう思ったそうです. で,祖父たちが港を出たすぐ後,その長崎を襲ったのがあの原子爆弾です. これが最後の出撃だ・・・,それは別の形で本当になりました. たしか,対馬に近い海域を

ウヨクの知能を諦める(愛国心教育編)

「ウヨク」シリーズの第3弾. なぜ「ウヨク」とカタカナ表記しているのかについては,前回までの記事をご覧ください. ■ ウヨクの知能を諦める(移民政策編) とは言え,ウヨクについて簡単に述べておくと,同じく左翼のカタカナ表記である「 サヨク 」の定義を参照し,私なりに以下のように定義しています. 一般的には右翼思想及び新自由主義体制または国粋主義にシンパシーを示すが、正面から右翼・保守思想を考察することはなく、「自己責任・愛国心・皇室・世界ランキング」といった俗物根性をくすぐる事象に乗っかって活動する思想・立場のこと。 より簡単にいえば, ウヨクとは「悪性の俗物」 です. なお,俗物に関する詳細は■ 俗物が俗物らしくしちゃダメ をご覧ください. 今回は,「愛国心教育」についてお話します. ご案内のとおり,ウヨクは愛国心教育を推奨します. 「学校とは愛国心を育てるところである」と考えるウヨクもいるくらいです. ■ 愛国教育を学校で行って何が悪いのですか? (Yahoo!知恵袋) 微笑ましいですね. ウヨクいわく,日本の学校は愛国心教育を怠ってきたため,日本人には愛国心がないのだそうです. ではなぜ,愛国心教育を怠ってきたとされる現代の学校を卒業しているウヨクが「愛国心」なるものを持つに至ったのでしょうか? 考えられることは3つ. 1)愛国心教育を受けなくても愛国心は育つから 2)ウヨクはまじめに学校で勉強していないから 3)実はウヨクは愛国心を持っていない 全部正解ですが,当該設問において妥当なのは3番です. ウヨクの言う「愛国心」とは,国を愛する心ではありません. では,愛国心でなければ何なのか? それは「俗物根性」です. 福田恆存 著『国家とは何か』 の冒頭に「俗物論」というのがあります. 福田氏が言う俗物とは 「世間に対する自己の関係に不安を感じ,その不安を解消するために,劣弱な自己を拡大修飾して現実の自己以上の見せかけをつくろうとする」 人のことだそうです. これは「ウヨク」のことを指しています. 俗物は常に人の目を気にします. 自分がどれほど特別で特徴的な存在であるかを他人に意識させたがる のが俗物です. 俗物であるウヨクは,自身の俗物根性を「愛国心」だと偽

ウヨクの知能を諦める(移民政策編)

前回の記事, ■ ウヨクの知能を諦める(沖縄基地問題編) でも書きましたが,ここで言う「ウヨク」というのは,「本来の意味での右翼・保守」ではなく,右翼・保守的な意見に寄り添うことが好きな人のことを指しています. 彼らは実質上,右翼や保守ではないのです. なお,「ウヨク」をネットで調べると,こういう解説がありました. ■ ウヨク (はてなキーワード) 国家主義的、排外的、好戦的、人種差別的言動や、理想を理解せずに既得権にしがみつく反動的な思考停止状態を揶揄するためのレッテルとして用いられるが、反「サヨク」の立場の表明として自称する例もある。 概ねこれで説明できているとは思いますが,私なりにもう少しこの「ウヨク」について,典型例を交えながら考えてみたいのです. 前回は「沖縄基地問題」, 今回は「移民政策」 です. ところで,一昔前からネットを中心として左翼のカタカナ表記「サヨク」が使われていました. ■ サヨク (ニコニコ大百科) そこでの説明を引用してきますと, 明確な定義について見解は分かれるが、一般的には左翼思想及び共産主義体制の近隣国家にシンパシーを示すが、正面からマルクス主義的な社会革命を標榜することはなく、「平和・国際協調・人権・民主主義・環境保護」といった口当たりのよいスローガンを掲げて活動する思想・立場のことを言う。 とあります. 私の言う「ウヨク」というのは,その右翼・保守版と捉えてもらって良いかと思います. つまり, 明確な定義ではないが,一般的には右翼思想及び新自由主義体制または国粋主義にシンパシーを示すが、正面から右翼・保守思想を考察することはなく、「自己責任・愛国心・皇室・世界ランキング」といった俗物根性をくすぐる事象に乗っかって活動する思想・立場のこと。 という説明で良いかと思います. 実のところ,サヨクとウヨクは同じもの. 単に時代が彼らを「左翼的」「右翼的」にしているだけのことで,一般大衆の付和雷同する心の現れだという話もしたいのですが,それは今回脇に置きます. でも,それが証拠に,彼らは 中国人や朝鮮人の問題にアレルギー反応を起こすくせに,なぜか現政権が進めている「外国人労働者」の受け入れには寛容 です. 受け入れる外国人労働者のほとんどは中国人になる予定なのに. ■ 移民政策

ウヨクの知能を諦める(沖縄基地問題編)

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このブログを始めた当初から,何度か記事として取り上げているのが「右翼・保守系バカ」についてです.面と向かって「右翼・保守」を名指しするようになったのはここ数年のこと. この『Deus ex machinaな日々』というブログに通底しているテーマと言ってもいいでしょう. そもそも,彼らは右翼や保守ではありません.保守的な意見が好きなミーハーです.ちゃんとした保守思想を持っている人たちと同列にしてはいけません.それが,「右翼・保守」についていろいろな見解にあたった上での私なりの理解です. 毎回「右翼・保守系バカ」って書くのは冗長ですから,便宜上ここでは「右翼・保守系バカ」のことを「ウヨク」と呼称しておきます. 先日, ■ 沖縄基地問題を諦める と題して,ウヨクの不道徳性を指摘しました. これについて,もうちょっと詳しく増補しておこうと思います. よく,「実は,沖縄の在日米軍の犯罪数は少ないんだ」とか「以前よりも減っているんだ」などと言い出す人がいます. そんなネット記事もあります. ■ 沖縄の米軍属の犯罪の推移をグラフ化して驚く 米軍と沖縄県民の犯罪発生率を計算をしているものもありました. ■ 米兵犯罪は本当に多いのか?統計による比較まとめ ・米軍 検挙数:42件(23年) 軍人人口(軍属含む):25,993(23年が見つからなかったので21年で代用) ・沖縄県民 検挙数:5,058件(23年) 県民人口:1,401,730人(23年) 犯罪発生率は以下の通り。 ・米軍 42÷25993×100= 0.16% ・沖縄県民 5058÷1401730×100= 0.36% どうやら気が狂っているようです.ご愁傷様です. 「日本人よりも検挙数が少ないから,米軍を沖縄に置いても大丈夫なんだ」などと,本気で言いたいのでしょうか? 耳を疑います. こんなこと言っている時点で,彼らは「右翼・保守」ではない.ましてや愛国者からは程遠い存在です. 「数値」が問題ないなら外国人を受け入れてもOK.民族の理念や慣習なんて「理性」で考えたらなんとでもなるさ.だって,いつか世界は一つになるんだから. 国境や民族なんて関係ない.一人びとりの人間として考えるべきだ. ということでしょ? これは左翼の発想です. 容易に想像でき

オリンピック・レガシーを諦める

スポーツの話題も「諦める」シリーズにしてみました. オリンピックの話です. オリンピック・レガシーというのをご存知でしょうか? ■ 2020年東京オリンピック・レガシー (wikipedia) ■ オリンピック・パラリンピックによってもたらされるレガシー (東京都) 一部のスポーツ研究者にとっては非常に関心が高い事柄. その一方で,その他多くのスポーツ研究者にとっては大した関心事ではないものです. 私もその一人. なぜ少なくないスポーツ研究者の関心が低いのか. それは,「レガシー(社会的遺産)」は人間の手でコントロールできるものではないからです.それくらいのこと,直感的にも分かります. ところが,結構な勢いでこれに食いついちゃってる人が多いのです. わざわざ「オリンピック・レガシー」などと騒がなくても,オリンピックを盛大に開催すればレガシーは生まれ,継承したほうがいいものは残り続けます. レガシーを我々の手で操作しようとすることがおこがましい. 「オリンピック・レガシー」 これは壮大なる「後出しジャンケン」です. オリンピック開催の価値は,オリンピックという大規模イベントに乗じてさまざまな公共投資をすることにあります. ところがこの国が絶望的なのは,今回のオリンピックにかける予算支出をゴネるニュースがとても多いことです.例えばこんなの. ■ 東京五輪費用、1兆8千億円 当初の6倍、大幅な公的資金投入避けられず 大会組織委試算 (産経新聞: 2015.12.19) とにかく,「低コストで開催しろ」「現状施設でやりくりしろ」といった声が大きい. 皆さん,いったいオリンピックに何を期待しているのでしょうか. たんにスポーツ大会を開くだけなら私はオリンピックには反対です. こんなスポーツ素人のバカ騒ぎ,日本国内で開催してほしくありません. 国外で開催されるオリンピックに出場していればそれでいい. ではオリンピックに何を期待するのか. 例えば,オリンピックを契機に新しいテクノロジーを開発し,それを開催地東京に実装する.そうして実現化したものを地方にも組み込んでいく.といった機会にするのが望ましいのではないかと思うわけです. ま,月次な意見ですけど. 1964年の東京オリンピックでは,高速道路,新幹線,テレビ

保育所問題を諦める

「諦める」シリーズを続けます. ちょっと古い話題ですが,保育所問題についても触れておきたいと思います. ココ最近,待機児童問題や保育士の待遇改善が話題になっていました. それについて取り上げた記事も書いたことがあります. ■ 保育のこれから ■ 保育のこれから2 上記記事では, 「そもそも保育所を増やしていることになっていないし,『増やした』という施設は保育所として満足できる水準じゃない」 ということ,そして, 「保育施設の増やし方に悪フザケが過ぎる」 ということです. あまりにフザケた政策であることを指摘されまくったのか,安倍首相は保育士の待遇改善にも乗り出しました. ■ 安倍首相、保育士の給与2%引き上げ方針を表明 (JCASTニュース:2016.4.27) もっとフザケているんじゃないかと思わされます. ちなみに,「政府の試算では女性保育士の平均月給は26万8000円。」ということですが,そんなに高給取りな保育士,なかなかいないんじゃないですか? どういう集団で平均値をとったのでしょうか. で,案の定それらを指摘されていました. ■ 首相が表明した保育士給与2%引き上げ案に非難続出 「喧嘩売ってんの?」「たった2パーってそれだけ?!」 (BLOGOS:2016.4.28) いえ,私はここで安倍首相を糾弾したいわけではありません.彼がこんな感じなのは今に始まったことではありませんから. ある意味,予想通り. 「保育士の給与を増やす」という手段は講じてくるだろうなと思っていましたし,それが「微増」であることも想定の範囲内でした.ただ,その微増っぷりが予想以上だったことには笑いましたが. 私が保育所問題を「諦めよう」というのは,どいつもこいつも「もっと保育所を増やせ」とか「保育士の待遇を良くしろ」という指摘ばかりだからです. 天下の朝日新聞が指摘している通り,今回の保育所問題の発端である待機児童というのは,「共働き家庭の増加」です. 朝日新聞: 「待機児童問題」 保育所に預けなければならない「子供」が増えたのは,「家庭」の事情によるのです. だから,この問題を改善しようとするなら,「家庭」にターゲットを当てなければなりません. すなわち,一人あたりの

沖縄基地問題を諦める

高校の時の修学旅行先が沖縄でした. 自然体験やリゾート気分を味わうのも楽しかったですが,やっぱり修学旅行ですので沖縄基地問題は外せません. この問題について現地でいろいろと見聞きさせてもらったのも修学旅行の思い出です. そのようなわけで,当時から「沖縄基地問題」についての関心はあったのですが,やっぱり専門的に勉強しているわけではないのでブログで取り上げることは避けておりました. しかし,先日沖縄で起こったこのニュース, ■ 元米兵「刺して殺害」供述 性的暴行認める 沖縄・女性遺棄容疑 (朝日新聞) に対する様々な方面からの意見・コメントが,どうも私にとって気に入らないレベルまで達したので本ブログでも取り上げたいと思います. なんとも痛ましい事件であり,多くの人々が主張しているように,これにより沖縄の基地を減らす動きが活発になることは当然のことです. 此度の事件があらためて示したのは,他国のそれも宗主国の軍隊が駐屯する地域はこうした犠牲がつきものだということです. 今回の事件がきっかけとなって沖縄の基地負担軽減につながればいいのですが,残念ながらそういうわけにはいきません. なぜって,こういう凶悪事件の発生率が高まるであろう米軍・海兵隊の駐留場所を提供しようなんて地域,そうそうあるもんじゃないからです. 米軍基地を置くことによって,沖縄は沖縄でなくなっています. 基地によって成り立つ経済,米軍人を相手にした商売.そういう環境に曝された地域は,やがて米軍基地と米軍人のための文化が発生します. なんともやるせない. ところで,いつからか  ”沖縄らしさ” を前面に出すキャンペーンが目立つようになって久しいですが,これは沖縄らしさを喪失しつつあることの反動ではないかと察したくなるものです.20年前の修学旅行中にも感じたのですが, 痛々しいほどの「我々は沖縄人だ」という主張は,徐々に消えていくそれを失いたくない人々の叫びにも思えます. そして,そんな沖縄県民を見ると私は,なんとも居たまれない気持ちになると同時に,それと類似した影が本土にも近づいていることを悲しく思うわけです. こうした環境下にある沖縄に対し,日本政府はさまざまな補助金や優遇措置によって不満をそらしてきました. ところが,こういう強姦殺人や暴力事件はあとを絶ちません

日本ブランドを諦める

この手のニュースが続きます. ■ 港湾工事でも改ざん=14件受注、国交省に報告へ―東亜建設 (時事通信) ■ 三菱自動車の管理職が子会社の担当者に不正指示 (NHKニュース) ■ 【神戸橋桁落下】事故前に橋桁土台に約18センチのずれ…工事関係者が証言 (産経WEST) ■ 新名神工事で支柱倒れる けが人なし 大阪・箕面 (朝日新聞) 昨年も振り返ってみれば,東洋ゴムや旭化成の不正もありました. こうした事態に, 「日本ブランドが見る影もない」 と評価されることもありますが,この手の問題というのは表に現れるよりずっと以前から爆弾を抱えているものです. それが炸裂し始めてから「うわぁ〜,ここに爆弾があるぞぉ!」などと騒いだところで遅きに失するとはこのこと. それを大学版で論じたのが前回の記事. ■ 大学教育を諦める 大学の場合は,大学改革がどーのこーのと言い始めてしばらくした2000年頃,既に絶命状態でした. あの時以前ならまだ希望があったかもしれませんが,今はもう無理です. 最近は弱り切った体に鞭打つように,グローバル教育とかキャリア教育とか,あとは競争的な研究環境を用意することで “ 革新的イノベーション ” という謎の事象に期待している次第. これとそっくり同じことが産業界でも起きていると言っていいでしょう. 特に, 公共事業に関する話題は大学問題と類似した性質を持っています. 何が似てるかと言えば,いずれの業界も「コストパフォーマンス」とか「市場」という価値観でやりくりしちゃいけないのに,残念ながら世間様からの要望はこの両者だったわけでして. 結果, 世間様の要望にお応えすることによって,世間様にご迷惑をおかけしている という滑稽な状態なのです. そして最も危険なことは, 世間様は決して反省しない ということです. 企業が不正をするのはダメです.研究や教育を疎かにする大学もダメです. それは当然のこととして,だけどそうした「捏造,不正で対処する」「本分を疎かにする」という状態を作り出したのも世間様です. 自分たちがそういう状況を作り出したことくらいは自覚した方がいいのですが,世間様は絶対に反省しませんので「言い訳」を考えて誤魔化します.

大学教育を諦める

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御察しの方もいるでしょうが,前回の ■ 東京を諦める は大学教育にも通じています. 一極集中 ,且つ, 流動性が高い ものは近いうちに黄昏を迎える. 東京がその典型だというお話しでしたが. 大学もそうなっているのです. 「安穏としている大学教育や大学経営にも,競争原理を働かせた方がいい」 などと言って始めた大学改革. これにより,大学は取り返しのつかない状態になっています. もうダメです. 諦めるしかありません. これはちょうど,「風邪をひいて体調が悪い」と言っている人が,「体調が悪いのは体力がないからだ」ということで体力トレーニングをさせられているようなもの. これによって体調が良くなる可能性はゼロです. トレーニングだと称して実際にはトレーニングしない人であれば回復の希望はあります.実はそんな大学もたまにあります. 競争原理に曝せば各大学が切磋琢磨するのではないかという理想論もありました. それにより,それまで無名だった大学にスポットがあたり,改革に対し保守的な大学が落ちぶれるというストーリーが夢想されていたのです.   でも,その結果発生したのは元来の優良大学への一極集中化です. しかも,改革に積極的な大学ほど,そこの教員が教育研究に割ける労力は減り,職員は病んでいます. こんなに経営改革に尽力しているに,どうして上手い方向に転がらないんだろうって,その凋落原因が改革にあるとは思わないんですね. それに,競争原理を働かせた方が,教育研究が活発になるというのも嘘であることが判明しました. このことに警鐘を鳴らしていた大学の先生もいます. ■ あまりにも異常な日本の論文数のカーブ (「ある医療系大学長のつぼやき」内記事) その関連記事→■ Numbers of young scientists declining in Japan (nature誌) さらに以下のネット記事にもあるように,日本の論文数は科学研究費助成事業(いわゆる科研費)が頼みの綱になっている上に,それでいて論文数は減少しているという凄惨な事態になっています. ■ 日本の論文は科研費頼みの傾向へ、それでも世界に存在感を示せていない でもこれは,素朴に考えれば当然の帰結です. 科研費による学術研

東京を諦める

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東京はダメな地域です. それが如実に現れたのが舛添都知事問題でした. ■ 舛添都知事、45万円分を返金へ「私的な支出誤り計上」 地方出身者には,この地が邪悪に満ちていることは直感的に分かります. だから私も昔,こんな記事を書いてきました. ■ 東京人と中国人はよく似ている ■ 続・東京人と中国人はよく似ている 東京人だけが悪いということを言っているわけではありません. 「大阪市内」についても同様であること,これは 人口過密と流動性にその問題がある 可能性について批判しているつもりです. あと, 「中国人が悪い」という趣旨のことを述べたいわけでもありません. 東京人と中国人が「似ている」,それだけのこと.東京にいる人は,ご自身が中国的な人間であることを自覚した方がいい.そういうことです. ※詳細は上記記事を読んで下さい. ところで. 興味深いのは,2014年の東京都知事選挙にまともな人物が誰一人立候補していなかったことです. 犯罪者か破壊者か泡沫か.誰に投票しても悪夢です. しいて言えばマック赤坂が最もまともでした. このことが示すのは,東京ではまともな為政者が現れなくなったことです. 少し前には山本太郎というタレントも政治家として当選しました. 都市部では人間関係が希薄になります.だから「個人」の意志が反映されやすくなります. いわゆる, 「この人に投票するのが我が家の方針」とか「ここの住民の方針」 というのが少なくなってくるわけです. 家長の意見や,町で一番賢い人の意見よりも,個々人の意見が尊重されるようになるのです. それゆえ,まともな人が立候補しなくなります. まともな人だと当選できないからです. 選ぶ奴がまともじゃないんだから当然の帰結です. 代わりに,奇抜なことをいう人や,分かりやすい政策を訴える人が当選しやすくなります. 挙句の果てには,有名人だからという理由で票が入るようになります. こうなったらお終いです. そうなっているのが東京です. だから東京は諦めるしかありません. 大阪はまだなんとかなるかもしれませんが,東京はもう無理です. いずれ近いうちに大阪も取り返しのつかないところまでいきます.

井戸端スポーツ会議 part 29「裏金くらいで騒ぐな:東京五輪について」

こんなニュースが飛び込んできました. ■ 東京五輪招致巡り裏金報道 英紙「1.6億円支払い」 スポーツを専門とする身にもかかわらず,2013年に東京五輪招致が決まった際もこのブログでは完全スルーしていた私ですから,今回の裏金・賄賂問題もさほど気にしていません. むしろ私は,招致決定後のエンブレム問題の方を興味深く眺めておりました. ■ 井戸端スポーツ会議 part 23『東京五輪エンブレム問題に見えるスポーツの危機』 ■ 井戸端スポーツ会議 part 28「東京五輪のエンブレム」 実際のところ,五輪に興味無いんです. たぶん我々の分野の仕事が増えるという恩恵はあるものの,それを言い出したらあらゆる領域に波及効果はあります. むしろ,オリンピックはこれらの波及効果を主目的に行なうものです. 「オリンピックに乗じてバカな公共事業をやるんだろ!」などと熱り立っている連中をたまに見かけますが,バカはこつらの方です. 繰り返しますが,オリンピックなどの大規模スポーツイベントは,公共事業を円滑に進めるための 大事なイベント です. ■ スポーツで土建国家を復活できる 今回ニュースになっている,裏金・賄賂についても,それを含めて「オリンピック」だというのが私の認識です. あぁ,やっぱりやってるだろうな.って. 例えば, スポーツ選手のスカウトや勧誘には裏金・賄賂は当たり前です. 一時期大問題になりましたが,野球のドラフトでは選手やコーチ,親に裏金・賄賂を送るのは当たり前だった時代があります. みんな知っていました.でも,「知らない」ってことにしてただけです. 高校野球にしても「特待生」という制度はありませんが,みんな公然と「彼は野球の特待生で入学してるから」などと話をしていました. アイドルもオナラやウンコをします. 脇毛も生える. それを聞いて「うそ~.そんなこと初めて聞いた!」などと言う奴はよっぽどのアホです.それと一緒. 試合の勝敗にも裏金・賄賂はあります. ■ 井戸端スポーツ会議 part 27「オープンスキル・スポーツ界での八百長」 こういうことは暗黙の了解です. はっきり言って騒ぎ過ぎ. ある程度「そういうもんだ」と思って見なければいけないのが現代のスポーツです. むしろ,そこを割り切っている「プ

【最終奥義】超便利:授業内レポート(小レポート,リアクションペーパー)作成のコツ

一連の記事, ■ 超便利:授業内レポート(小レポート,リアクションペーパー)作成のコツ ■ 問題意識の表明の書き方 ■ 自分の意見と根拠の書き方 ■ 自分の意見への批判とその反論の書き方 のどれか一つでも読んできた学生に送る記事です. それらを読んで, 「よし,これで大学でのレポートはOKだな」 などと思ってはいけません. あくまでこれは「補助輪付き自転車」のようなものです. レポートを書くことに慣れてきたら,さまざまな文章作成術を解説している書籍に当たりましょう. こんな私の記事をネットで検索している君は知らないかもしれませんが,以下のような本が図書館にきっとあるはずです.ちゃんとこういうのを読んで下さい. 高い買い物ではありません,本屋でペラペラっとめくってみて,自分に合いそうなものは購入することをオススメします.       そして,今のうちから頭の片隅に置いといてほしいことが一つ. 一連記事ではレポート作成のコツとして以下のことを紹介し,その中でも太字にした, 1.問題意識の表明 2.自分の意見 3.自分の意見を裏付ける根拠 4.自分の意見を批判する意見 5.自分の意見を批判する意見への反論 6.再度,自分の意見または結論 「4」と「5」が大事であることを強調してきました. すなわち,自分の意見を批判する意見を取り入れ,それに対する再反論を展開することで自分の主張をタフなものにする手法です. しかし,これは最終的には間違いです. 「えぇっ!!! ここにきて何を言い出すんだテメェ!!」 と思われるかもしれませんが,大切なことです. なんだか禅の修行のようでしょ? たかがレポート,されどレポートです. 紹介してきた一連のレポートの展開方法ですが,これに慣れれば慣れるほど悪用者が増えます. 自分の意見を良く見せるために,安直に使う人が出てくるのです. こういうのを「レトリック」と呼んだりします. レトリックを使って相手を説得することも大事ではあるのですが, 問題なのは,自分自身に対してレトリックを使って納得させている人がいることです. 具体例は別記事に譲るとして,これは真っ当な人間のやることではない. そして,大学教育から最も遠いことです. だ

危ない大学に奉職してしまったとき:レポートの書かせ方

読んでくれた人の中には気づいた方もいるかもしれませんが,前回までの一連記事である, ■ 超便利:授業内レポート(小レポート,リアクションペーパー)作成のコツ ■ 問題意識の表明の書き方 ■ 自分の意見と根拠の書き方 ■ 自分の意見への批判とその反論の書き方 は,大学教員の皆様,そのなかでも特に「危ない大学」に奉職されている方々に書いています. もちろん,学生に向けたつもりでもいます. ですが,あんな長ったらしい記事,本当に真摯にレポートを書けるようになりたいと願う学生しか読みません. 読んでほしいことはやまやまなのですが. さて, ■ 自分の意見への批判とその反論の書き方 の最後の部分にも書いていることですが,それをここでも改めて書いておきます. このレポート作成術によって得られる効果です. 私が担当している初年次教育では,一連の記事で示したレポートの書き方を覚えてもらうようにしています.すなわち,以下の内容を含むように書かせるのです. 1.問題意識の表明 2.自分の意見 3.自分の意見を裏付ける根拠 4.自分の意見を批判する意見 5.自分の意見を批判する意見への反論 6.再度,自分の意見または結論 以前,「消費税増税問題」をテーマに1年生に練習用レポートを書かせたことがあります. 私がこのテーマを勧めたわけではありません.むしろ「難しいから別のにしたほうがいいよ」って言ったのですが,学生達自身が選んだのです. そして,上記の「1」〜「6」の構成を指示して書かせたところ, 当初は増税賛成派の学生が多かったのですが,【自分の意見を批判する意見】と【自分の意見を批判する意見への反論】の作業をしているうちに,最終的には反対派の方が多数派になりました. 多くの学生は,財務省の言う「消費税増税した方がいい理由」を「自分の意見」にしてその反対論を読み探しているうちに, 「いくらなんでも「特定の者に負担が集中しない」ってのは嘘だろ」 「反対論をいろいろ読んでいくと,これじゃ消費税増税を弁護しきれない」 ってことが分かってきたようです. とても興味深い現象でしたし,これが大学生の学びの一歩だと思いました. 別に消費税増税に反対することが正しいと言っているわけ

【自分の意見への批判とその反論の書き方】超便利:授業内レポート(小レポート,リアクションペーパー)作成のコツ

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■ 超便利:授業内レポート(小レポート,リアクションペーパー)作成のコツ を読んだだけでは書けず, 絶望に打ち震えるほどレポートを書くのが苦手な学生 のために用意した記事です. そんな君は,以下のフォーマットに合わせて書いてみることをオススメします. ※なお,普通にレポート文章を書くことができる人は,これを読んでもあまり得しません.あくまで「絶望にうち震えるほど苦手な学生用」です. 基本構成の詳細については, ■ 超便利:授業内レポート(小レポート,リアクションペーパー)作成のコツ の記事を読んでください. 授業内レポートで低評価されないための基本構成 1.問題意識の表明 2.自分の意見(仮説) 3.自分の意見を裏付ける根拠 4.自分の意見を批判する意見 5.自分の意見を批判する意見への反論 6.再度,自分の意見または結論 Amazon広告     今回は 「4」と「5」について焦点 をあてましょう. 一連の記事である, ■ 【問題意識の表明の書き方】 ■ 【自分の意見と根拠の書き方】 で用いられている具体例をここでも使用します. その具体例では,以下のような展開にしてきました. 基本構成の「1」〜「3」を書き終えるとこんな感じになりました. 《例》 現在の学校教育は,子供たちの「生きる力」を育むという理念のもと進められている.しかし,この「生きる力」とは具体的にどのようなものを指すのか,その捉え方や評価は学校や教師に委ねられている部分が大きい.それゆえ,指導現場において「生きる力」が具体的にどのようなものか示される必要があるだろう. 具体的に「生きる力」を示す指導例として,元気な挨拶の実施が考えられる.なぜなら,挨拶は人間が日常生活を営む上で最小限の生活規範とされ,コミュニケーションを始める上での重要な第一歩だからだ. 少なくない学生,なかでも 大小・長短問わず「レポート課題」で悩んでいる学生の特徴は,「自分の意見を批判する意見」を書かないことです. だから,これに「4」と「5」を付け加えれば,君のレポートは劇的にレベルアップします.