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2月, 2015の投稿を表示しています

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大学教育の質が低下している?

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こんなニュースが流れましたので,それについて論じてみようと思います. 講義は中学レベル,入試は「同意」で合格 文科省がダメ出しした仰天大学とは 記事を抜粋しますと,  「数学の授業は四捨五入から」「受験生と大学の『同意』で合格」「新入生が一人もいない」――。新設の大学や学部でこんな事例が相次ぎ、文部科学省が改善指導に乗り出しました。若者の減少とキャンパスの新増設で「大学全入」とも言われる時代。とりわけ知名度の低い地方大学で、教育の質の低下が懸念されています。 withnews:2月21日(土) とのことです.     過去記事でも繰り返し論じたり訴えたりしている点ですが,現在の大学経営がどのような方向性を持っているのか,今一度お話しておきます. 大学は今, 「教育の質を下げなければ淘汰される」 という事態に突入しています. このような事態へと突入させた犯人は,上記記事で “ダメ出し” している文科省と,あとは国民の要望です. ですが,一口に「大学における教育の質の低下」と言いましても複数の視点がありまして,今回のニュースはそれを論じる上で格好の材料なんです. 今回のニュースを読み解くためには,きちんと論点を整理していく必要があります. 論点は以下の通りです. 1)学力が低い者を大学へ入学させることは悪いことか? 2)大学で四捨五入やbe動詞を学ばせることは “教育の質が低い” ことなのか? 3)質の高い大学教育とは何か? 4)なぜ大学は教育の質を下げるのか? 上記の記事には気になる文章があります. 「大学の教育の質が低下している」 というところです. これについては,文科省や記者が考えている「教育の質」の認識が間違っていると指摘しておきましょう. 下がってきているのは教育の質ではなく,学生の学力です . 勘違いしてもらいたくないのは,私は別に「 学力が低い者を大学に入学させるな」などと言いたいわけではありません. 四捨五入や百分率,be動詞が分からない学生が増えてきているのですから,大学がそうした学生に応じて指導するのは当然ではないでしょうか. たとえ経営難大学とは言え(経営難大学だからこそ,だが),そこに入学した学生は四捨五入や百分率,ちょっ

エクセル散布図で相関関係・相関係数を確認する便利な方法

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相関係数を確認するために,エクセル関数とかSPSSを使うのは面倒だと思っている人へ|それ,簡単に確認できますよ 以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は, このリンク先→「 統計記事のエクセルのファイル 」から, 「相関係数を散布図を使って確認する」 のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください. しばしば,大量のデータを前にして相関関係の有無を探索的に確認しなきゃいけない作業というのがあります. 例えば以下の様なデータ. 上記の例では,テストA〜Eという5つしかありませんけど,場合によっては何十個もの列が並んでいるデータに出くわすことがあります. それについて以下のように2つの列(変数)を選択してから・・・, そして,下図のように【グラフ】から散布図を作成して,その散布図がどのようにプロットされるのか,ということから相関関係の有無を確認するというのが一般的です. (以下の図,テストAとテストBの間には相関関係は見られないようですね) これを, 「テストAとテストB.以下,AとC,AとD,AとE,BとC,BとD・・・」 という感じでずーっと確認していきたい,ということがあります. 今回の記事では,この作業をスムーズにする方法をご紹介しようというものです. ※ここでは「エクセルMac2011」を使って紹介していますが,全てのエクセルにおいて同じ操作が可能です.   早速その作業方法ですが, まずは散布図を作ってもらって,それを少し改造していきます. とりあえず,下図のようにグラフ右側に出てくる邪魔な「系列」の表示を削除(「系列」を選択してDeleteキーで消せる). 次に,散布図に プロットされる点々を右クリック して下図のようなメニューを出して・・・, そこに表示される 「 近似曲線の追加 」  をクリックします. するとこんなダイアログボックス画面が出てきますので, 「 オプション 」 を選んでもらって, 「 グラフにR-2乗値を表示する 」 にチェックを入れます. そうすると,下図のように散布図の中にR二乗値が表示されるようになりますので・・・, それ

センター試験とか入試におけるアレコレ

今日の記事は,はっきり言ってどうでもいい内容です. 何かの問題提起をするでもなく,珍しい考え方を提唱するでもなく. なので,得られるものは何もないので,それを承知の上で読み進めてください. では. 私もこの仕事に就いて5年.センター試験とか大学入試の業務をやり始めて久しいわけですが,その内情はどんなものなのか?外部の人には珍しいのではないかと思いましたので記事にしてみました. センター試験や大学入試を控えている受験生にとっては,あの緊張感漂う入試会場の裏側で何が起こっているのか察しながら受けるのも楽しい(なわけないか)でしょうし,同じ大学人からすれば「あーっ,それあるある!」ってことで楽しんでもらえるんじゃないかというわけです. まず,センター試験とか入学試験において外部の人(つまり受験生)が目にするところと言いますのは,検問所(受験会場への入り口)と受験会場ですよね. で,その受験会場においては「試験監督」と呼ばれる人達がその場を取り仕切っているのですが,この試験監督も役割分担がされています. 大きく分けると以下の3つです. 1)監督主任 その試験場(部屋)を統括する役回りで,たいていその大学所属の教員が担当している.偉い役職についているから任される,というわけでは全然なく,適当に決められることが多いが,ことセンター試験においては「ヤバい」キャラの人は選ばれていないように思う.センターの場合は間違いが許されないので,少しでもマシな人選がされているはず. ちなみに,センターの主任をやりたがる人は稀で,そのプレッシャーと業務把握量の多さからして可能な限り避けたい仕事である. ご案内の方も多いだろうが,監督主任が発する言葉は99%が「監督要領(監督者の手引き)」に書かれていることの読み上げである.本人の意志や配慮から発せられる言葉は全く無いと言ってよい. 2)監督副主任(タイムキーパー) 監督主任を助ける役回り.試験時間や伝達事項,指示内容の読み上げなどを一緒に確認しながら進めるために配置されている場合が多く,センター試験においてはその役回り通りに「タイムキーパー」と称される.大学独自の入試や試験場の大きさによっては,この副主任を置かないことも多い. 3)監督者 監督主任以外の試験監督者は,総じて監督者と呼ばれることが多い

厄介な教員は切り捨てても良いか?

この記事は,ちょっと前に書いている ■ 危ない大学に奉職してしまったとき「厄介な教員対策」 の続編みたいなものです. 危ない大学ほど「厄介な教員」が増加する傾向にある ので,その傾向と対策をご紹介したものです. これについては,「だったら,そんな厄介な教員は切り捨ててしまえばいいじゃないか」と思われたかもしれません. でも,そういうわけにはいかないのが教育現場ですので,そこらへんのことを詳しく述べておこうというわけです. 厄介な教員は切り捨てても良いか? ダメです. もちろん,この手の記事では毎度毎度のことですが,「程度の問題」ではあります. ですが,そうした業務に支障が出るような教員であっても,「あぁ,こいつ邪魔だから」と言って切り捨ててよいかと言えば,それはやっぱりダメなのです. なぜか? 一番大きい理由としては,「大学教育」という場において,厄介な教員という存在が本当にネガティブな存在としてだけで評価されていいものなのか? これが甚だ疑問であるから,ということを挙げておきましょう. 大学という場には様々な学問領域にいる教員が集まっています. こうした様々な学問領域を研究する教員から,学生はモノの考え方を学ぶのが大学というところなのですが. 教育の難しいところは「学生をこういう状態にさせたら成功」というものが無い,乃至,卒業させる段階では未知数であるところにあります. ※これは大学教育に限らず,教育業界全般に言えると思います. それ故,大学の教員は,自分が研究してきたこと,その研究方法,その研究領域における哲学・思想を学生に伝えることしかできません. こういうのはよく, 「ノコギリや金槌を渡して,その使い方を教えることはできるけど,それで何を作ったら良いのかは教えられない」 というような比喩で表現されますが,まさにそれです. もちろん,師事している教員が作った作品をコピーして自分の手で作ってみる,というのもありでしょうし,実際のところそれがゼミと呼ばれる授業なのかもしれません. ですが,いつかは自分の手で自分だけの作品を作れるようになってもらうのが大学を卒業するということです. ※私個人的な現在の大学教育への不満を一つ言わせてもらうと,作品や完成品に関するウンチクはいろいろ勉強させているけど,道具の使い方や道具の

偏差値45の大学選び パート2

ほぼ1年ぶりとなる続編です. パート1を見ていない人は, ■ 偏差値45の大学選び パート1 をご覧ください. パート1でも書きましたが,この記事で対象としているのはトップレベルの大学を目指している受験生ではなく, だいたい偏差値が40〜50くらいの枠の中で「大学のこと,あんま知らないし.どうしようかなぁ」「滑り止めとは言え,もしものために」と悩んでいる受験生 です. パート1でご紹介したのは, (1)自宅からのアクセス (2)図書館(パソコン室)まわり (3)貸出備品 (4)ゆるさ といったものでしたが,今回はこの中でも「(4)ゆるさ」について取り上げます. 良い大学において,なぜ「ゆるさ」がなぜ重要なのか,そこを解説してみたいと思うのです. その「ゆるさ」というのは以下の様なものでした. 1)学内でお酒が呑めるか?ゼミ中や研究室で呑んでる先生がいるか?飲み会が開かれたりしてるか? 2)開門時間以外でも入校可能か?つまり,事実上24時間営業か? 3)軽い暴力(身体的・精神的)をふるう教員がいるか?で,その教員は,ちょっとした名物教員(つまり,解雇されずに済んでいる)か? 4)図書館の隅や未使用教室などで寝ている学生がいるか? 5)なんでもない時期に,2日以上連続で(さも当たり前のように)学内に宿泊している学生(または教職員)がいるか? 6)購買コーナーのおっちゃん・おばちゃんが,「えぇよ,えぇよ,なんとかしといたるから」っていう感じの融通がきくところか?(この場合,「お金がない時にツケがきいたりしますか?」なんていう質問で切り出してもいいでしょう) 7)大学職員が怖いか?学生を怒鳴りつける職員がいるか? 8)受講者の99%が寝てる授業があるか? 9)授業に行ったら先生が来なくて,そのまま何事も無く休講になることがあるか? 10)テストが全然できていないと思ったのに,高得点で単位が取れたことがあるか? 上記の中でも,高校生が確認(理解)しやすいものを優先的にご紹介しましょう. ●開門時間以外でも入校可能か?つまり,事実上24時間営業か? 勉強したい学生,仕事したい教員は好きな時に好きなようにやってください.という状態です. 最近はこれをコンセプトとして公言し,(ほぼ)24