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9月, 2011の投稿を表示しています

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大学教員になる方法3

「2」の続きです. これまでをまとめますと, (1)研究業績や教育歴は多い方がいいけど,それで採用されるわけではない.必要最低限確保されていればいい. (2)採用側(大学)のニーズにピッタリとハマる人物であることをアピールしなければならない. (3)上記2つのことを知るためにも,大学の内部情報の収集が雌雄を決する(かもね). といったことでしょうか. 今回は,具体的な細かいことをQ&A方式でとりあげます. Q. そうは言っても研究業績が多い方が採用されるのでは? A. 研究業績が多い人が採用された,という求人は元々「研究重視の教員を求めている求人」であることが多いので,結果的に並の人たちより研究業績が多い人が採用されているだけです(当たり前の論理だけど). 5本より6本,40本より45本の人が採用される,というようなスケールの競争ではありません. 業績やなんかで上位数名に絞ったら,あとはニーズにどれだけ合致している人物か?が争点になります. Q. やっぱりコネ? A. はい. 私も大学人になってから身に染みて感じていることなのですが,“採用する側として” も,やっぱりコネが必要です. というのも,僅か1名の教員を採用するのに,どこの馬の骨とも知れない人を引っぱってくるよりも,「私が保証しますから」という内部の推しがあったほうが採る側としては安心なのです. 特に昨今の教育現場を見る社会の目は厳しいもので,教育者としての倫理や道徳,社会性を持った教員を採用しないと,何か問題を起こされたら大学は酷い目に遭います. 特に中・小規模の大学では,完全にオープンな公募は “やりたくない” のが本音ではないでしょうか. 格好がつく程度の業績さえあれば,あとは人間性などの部分をいかに確保できるか?が採用する側の考えです. Q. では,コネをつくるには? A. とりあえず仕事を頑張ることです.それしか私は知りません. あとは,コネの作り方を解説した本などを読んでください. 仕事先や学会の飲み会に参加するのも大事です. そこに就職口が落ちていることが多いです. Q. ぜんぜん業績が無くても採用されたりするの? A. はい. 特に,年齢が高くなるに従って多いのではないでしょうか. よく

大学教員になる方法2

「2」ということで,前回の続きです. なかなか 「大学教員に至るまでの道」 がブログとかで話されることは少ないですから,ひとつのネタとして聞いてください. 大学教員を目指している人は参考にしてみてください. 今回はもう少し,“採用” に至るまでの “採る側” の身の内をお話ししましょう. ※ただし,これらは全ての大学にあてはまるわけでも,金科玉条の法則でもありませんので,あしからず. 前回お話ししたことをおさらいしながら,詳しく説明したいと思います. 採る側のニーズに合致すること. これは我々の間では「タイミングが重要」などと表現されることです. 大学教員というのは採用人数がしっかり決まっています. 思いつきで2人も3人も採れるわけではないので,停年の教員がいてポストが空いたり,新しく学科ができるなどして出来たポストだったりに採用することになります. もうその時点で大学側は「こういう人を採りたい」というイメージが出来ている場合が多いのです. 任せる業務や欲しい能力,性格や年齢といったことまでも打ち合わせ済みです. それにいかに合致するか,が全てです. 大学教員はそれぞれ専門性があり,さらにその専門は細分化されています(専門バカとも揶揄されます). そのポストで求められる専門性と自分の専門が合致しなければ,どんなに業績があろうと能力が高かろうと採用されることはありません. これは学校と一緒で,理科の先生を採ろうとしているところに,国語の先生が応募しても無駄ということと一緒です. 出てくる求人や公募が,いかに自分の専門と合致しているか? で採用の可否が決します. たまたま自分の専門と得意分野が合致したポストが出てくれば,労せずとも採用ということになります. 私も以前,業績とか教育歴がほとんどないのに書類審査を通ったことがあります. え?こんな私でいいの?と逆に心配になりましたが,タイミングというのはそういうものです. その大学側も人事で話し合ったかなにかで, 「え?こんな若僧でいいの?」 ということになったと推察され,結局もゴモゴモお詫びを言ってきて流れました. 後日談としては,その大学のその人事は無しになったようです(適切な人材が来なかったら無しということもありうる). このあたりは大

大学教員になる方法

大学教員になるためにはどうすればいいか 仕事の帰りに後輩と飯を食べながら話したのが「大学の教員になる方法」というものです. 彼も不安定な非常勤講師から常勤の大学教員になれるよう頑張っている一人ですので. いろいろと話し込みました. 大学教員になるためには,業績(つまり論文の数)が多ければ損をしないのは周知のことですが,それ以外にどんなものが必要になってくるのでしょうか. 私自身の経験や,いろいろな大学人からこれまでに聞いたことを総合的にまとめてみたいと思います. ネットには,「大学院で博士(修士)を取得しましょう」とか「求人方法はこれ!」といった,無価値な情報が氾濫しています. ですが, ここで述べるのはそういった,果てしなくどうでもいい話ではなく,大学教員になるための実際の基準についてです. 業績の目安 20代後半〜30代前半で大学教員になろうと思ったら,業績はその分野としてカッコ悪くない程度あれば十分です. 目安としては,大学院を修了した年から,年に1本ずつ書いていったペースくらいです. 修士を24歳で出た人であれば,30歳の時に5〜6本くらいだと思います. その間,博士をとる人もいるかもしれませんが,業績の数としてはこんなもんのはずです. ちなみに業績は学術論文だけじゃなく,著書も含まれることが多いですね. だいたい,公募や求人には, 「過去5年間の業績を別刷で3〜5本出せ(コピー可)」 というパターンが多いですから,そういう意味でもちょうど良い数だと思います. ただ,ここからが重要で,業績(だけ)が多ければ多いほど採用に近づくか,と言われれば,否です. その求人が上で挙げた「業績を重視」する採用基準であれば,それこそ多ければ多いほどいいのですが,実はそういった採用基準のケースは稀. 特に,40代以上での人事となってくると,単純な「業績数」や「インパクトファクター」は基準になりません. ここを勘違いしている人が,ヒステリックになって, 「あいつより俺の方が業績が上なのに! きっと最初から決まっていた公募だったんだ!」 と怒り狂うことになります. 違います. そうじゃないんです. 業績の量や質が重視されるのは30歳前後までのこと. 年齢や職種が上が

Excelで大量のデータを処理したいとき

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今回はExcelで大量のデータを処理したい時のヒントを紹介します. Excelでのデータ処理に慣れている人にとっては「そんなの知ってるよ」 「もっと便利な方法がある」というものです. 今までExcelは使ったことがあるけど,最近になって大量のデータを扱う作業をしなければならなくなった. Excelを紹介したサイトとか書籍にあたっても,なんかイメージが沸かない. という人を対象にしています. 例に出すデータは以下のようなものです.体力測定の結果ですね. ※以下のような見にくい画像は,画像をクリックすれば元の大きさで見れます. 私たちの分野ではよくあるエクセルデータです. そして,できるだけ早く,かつ楽に処理したいデータでもあります. じっくり向き合っていても何か返事が返ってくるわけでも,得するデータでもない,そんなデータです. まずは上記のように,いわゆる “打ち込み作業” は終わっているものとします. では,データ処理の開始です. 入力作業では上記のように1行目に項目名を入れてリストを作ることが普通かと思います. そしてデータ処理にかかるのですが,ここで大量データを処理する際のヒントをひとつ. 例えば,以下のようにサンプルが10個くらいだったら,平均とか標準偏差なんかを一番下の行に入力することが多いですよね.それで問題ないですし. 実際,Excelの入力・操作設定としても,「一番下の行」 もしくは「一番右の列」に合計値や平均値を算出するようになっています. これは当然といえば当然の設定です. だって通常の数値表は,一番下と一番右に合計値や平均値を示すのがルールみたいなものなので. しかし,何百何千という行や,数十の列を使ってデータを打ち込んだ場合は,一番下とか一番右の列に合計値や平均値を算出していたら画面を大きく動かさなければならないし,追加データがあるたびに合計値や平均値の算出セルを移動,作り変えをしなければなりません. なので,以下のようにデータ表の一番上に作ってしまうのが得策です. 上部に7行ほど空けておき, ・平均値を示す「平均値(AVERAGE)」 ・データのばらつきを示す「標準偏差(STDEV)」 ・最大の値を示す「最大値(MAX)」 ・最小の値を示す「最小値(

ノンパラメトリック検定で多重比較したいとき

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現在の(私が確認しうる限りの)SPSSでは3群以上のノンパラメトリック検定を行なった後に多重比較検定を行なう手順がありません. SPSSはとても普及している統計ソフトですので,このソフトが持つ機能が統計処理の基準だと思われている節があります. てっきり,「ノンパラメトリック検定は3群以上での多重比較ができない」 「3群以上の比較は分散分析をしないといけない」 と考えている学生や院生が多いようです. 今回はSPSSとExcelの両方を合わせて使って, ノンパラメトリック検定での多重比較 をやってみます. ノンパラメトリック検定(nonparametric test)というのは, t検定や分散分析といったパラメトリック検定(parametric test)とは違い , 「 母集団の正規性や等分散性を仮定しない検定 」 のことです. 実験ではN数(対象数)が5とか,多くても20なんていうことがしばしばあります. でも,こんな少数では母集団の正規性が認められることは少なく,最近では統計処理手法としてノンパラメトリック検定を薦める記述を目にすることが多いですね. 「母集団の正規性,等分散性」 なんていう意味不明なことは後で勉強しとくから,とりあえずノンパラメトリック検定での多重比較を教えてほしい,という人を対象にして以下に説明します. 例として取り扱うのは以下のデータです. SPSS for Windows ver11.0を使用しています. ※後日,エクセルでもこの作業ができるよう, ■ クラスカル・ウォリスの検定をエクセルでやる ■ フリードマンの検定をエクセルでなんとかする を取り上げましたので,ご参照ください. クリックしたら画像が元の大きさで見れます. これをノンパラメトリック検定の中にある「K個の独立したサンプルの検定」を選択すると, 以下のような画面がでるので, Kruskal-Wallis を選択して検定します. すると,以下のような検定結果が出て,有意であることが認められました. ここまでだと,3群以上のノンパラメトリック検定の一つであるKruscal-Wallisの検定により,有意差が認められるデータであることがわかっただけで,具体的にどことどこの群間に有