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ひっそりと登場


日本の自衛隊の次期主力戦車(TK-X)が,先日マスコミの前に公表されました.
左の写真がその姿です.
だいぶ前から私としても注目していたのですが,いよいよその全貌が明らかになってきました.

2010年4月から配備予定なのだそうです.
ということは,10式戦車という名称になる予定でしょうか.

すでにWikipediaのEnglish版では「Type-10」として記載されていますね.


ところでこの新型戦車,開発目標が非常に明確な戦車として注目を集めていました.
以前,戦艦大和の開発・建造に関する記事を書きましたし,それ以外にも「目的を明確に」という趣旨のブログを書いていましたので,それと関連が強いですね.

で,その開発目標ですが,一番はなんと言っても「軽量であること」
現在の主力戦車である90式戦車は,世界トップレベルの火器管制システムと防御力を持っていましたが,いかんせん車体重量が50tと,重いことがネックでした.
でも,別に他国の主力戦車と比べて特別重いわけではないのです(米国のM-1戦車は63t,仏のルクレールは57t,イスラエルのメルカバは65t).むしろ軽い方に入ります.

ようは,日本の土地柄に合わなかったわけです.
もともと90式戦車は今の総理の地元である北海道を中心とする北方防衛を目的に開発していることもあり,山有り谷有りの日本の地形にはフィットしないのです.
日本の道路は戦車を通すために造られているわけではないので,50tの特殊車両が通ろうもんなら,崩れてしまう場所や橋があるのだそうで.
北海道以外の場所を防衛するには取り回しが利かない戦車なのです.

そこで防衛省は,次期主力戦車は,
「軽量で機動性が高く,それでいて高火力で防御力が高い.ついでに現代戦(対テロ,市街地戦)に対応できる柔軟性を有し,戦術データリンクを搭載して部隊統率に長ける」
という目標を掲げ,しかも自国開発するというプロジェクトを発足したのでした.

かなり野心的,というかめちゃくちゃハードルを上げてることがうかがえます.
これができたら間違いなく世界最強の戦車部隊が出来てしまいます.

で,出来ちゃったわけです.
開発チームの方々は大変だったでしょう.お疲れさま.

注目の重量は44t.現代戦車としてはべらぼうに軽いものです.
主砲は日本製の新型120mm滑腔砲を使用しており,管制システムを含めると世界最強です.
なんといっても日本の戦車の特徴である,“走りながら主砲が撃てる” という,世界が頭を抱える摩訶不思議な技術.これも90式戦車から引き継いでいます.

ちなみに,最近の流行を取り入れ,火器管制システムはタッチパネルになったようです.
これで戦術データリンクを使ってiPhoneみたいにゲームもできますね.

真面目な話をすると,軽量化の恩恵は防御力にもあります.
軽くなったので機動性が高まり,アジリティ能力が高いやつになりました.
それに,車体を低くコンパクトにしたことで,被弾の確率を小さくできます.
写真でも見てわかるように,ステルス化,対IR(赤外線探知)化が施されています.

どうやら,かなりゴキゲンな戦車が完成したようです.
しめてお値段10億円.90式戦車の発売当初のお値段(11億円)よりも安くなっています.
安くあげることもプロジェクトの一環だったようですし,うまいこといったようです.