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床屋と笑点と研究生活


昨日,床屋で髪を切りました.
その床屋では営業中にTVを流しているのですけど(よくある鏡越しに見れるTV),私の番が来た頃にちょうど笑点が始まりました.
別に普通じゃん,と思うことなかれ.
これはとんでもないことなのですよ!

笑点を見ながら理髪される身にもなってください.
笑いたくても笑えない.
なるべく耳をTVから離そうと意識しても,“そう意識している時点で” 意識しているわけでして.
前座の若手芸人は難なくスルーできたのですが,大喜利は難敵.

カミソリをあてられている時なんか死に物狂いで笑いをこらえています.
てか,私が笑いをこらえても,店の人が笑ってしまったら鮮血が飛び散ることになるわけで.
気が気でない数十分.
木久扇(旧・木久蔵)師匠のボケネタは反則的です.
文字通り死にそうになります.


さて,
修士論文発表会が終わりました.本学の大学院生も,あとは論文を書き上げれば修了ということになります.
多くが2年間の研究生活も終了することになるのですが,この後も研究生活を続ける人もいるのでしょう.
私もそういったうちの一人だったわけですし.気がつけばこの生活が今後も続きそうです.

私の代の大学院生でも,今も研究生活を続けている人が幾人かおります.
で,面白い,というか皮肉な話なのですが,その誰もが入学時点ではさほど優秀でなかった人達なんですよね.
私もその人達も,夏の一次入試では不合格でしたし,学内の研究奨学生制度にも該当しなかったのですよ.
私の先輩である方も,優秀な研究者ですが,同様の経路をたどっております.

この大学から「研究者の劣等生」と烙印を押された人のほうが研究者になれるのかもしれません.


研究生活をテーマに,久しぶりに読書を取り上げます.
竹内薫 著『なぜ「科学」はウソをつくのか』 では,日本の「科学」の取り扱われ方に警鐘を鳴らします.
同時に,日本で科学者や研究者が育たない・根付かないことにも触れ,日本での研究生活の困難さを紹介しています.
竹内氏は以前にも 『99.9%は仮説』 といった科学哲学に関する興味深い著作もあり,とても面白い視点をもった方です.
ご一読をお勧めします.

研究生活ということについては,坪田一男 著『理系のための研究生活ガイド』 が面白い. これを手に取ったのは私が大学院1年生の頃でした.
当時は,「たしかに書いていることの意味はなんとなくイメージできるけど,本当かいな?」と懐疑的でもあったのですけど,今なら「その通り!」と太鼓判を押します.研究生活を本気でやりたい人,続けたい人は読んで損はないですよ.

なんにしても,“研究生活” っていうのは “勉強をすること” じゃない気がします.気になることについて執念深く裏取りをすることに他なりません.いま話題になっている 「民主党・小沢一郎献金問題」 について,東京地検が罪状をあげるために捜査していることと変わりないのだと思っています.捜査している対象が世間ウケしないだけ.その捜査のモチベーションは自分の 「好奇心」 だけです.期日までにそれなりの結果をださなければならないという制限があったりするところも一緒です.
そして,これは前回のブログにも通じるのですけど,“期日までに手に入れた証拠で自説を展開し,納得させる” というところも同じだと思います.
冤罪や勘違いもあるのかもしれませんが,それでも 「怪しい」 と感じたからには追求する,それが研究生活の正体なのではないでしょうか.