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いまさら蟹工船を読んだ


漫画ですけどね,小林多喜二 著『蟹工船』 を読んでみました.

原作は1929年に発表されており,過酷な労働環境にある “蟹工船(水揚げしたカニを洋上で加工する工場船)” を舞台に,資本主義の冷酷さとそこで働く労働者の群像を描く作品です.

そしてなにより昨年,意味不明なブームが起きた小説で有名です.
近年,日本共産党への入党者が増加していることと相関しているのではないかと噂されています.
というのも,蟹工船の新規読者が若者であることと,共産党への新規入党者も若者が多いことがその関連性を類推させるからです.

新規読者にはネットカフェ難民やワーキングプアが多いと推測されており,近頃の若者をとりまく社会情勢と蟹工船で働く労働者がだぶり,共感を得ているのではないかと言われています.

読んだ感想としては,
“バカは馬鹿をみる”
というのが素直なところです.

残念ながら,ワーキングプアの一角をなす私が読んでも,資本主義への嫌悪感や共産主義への期待感が現れることはありませんでした.

まともな労働者なら...,少なくとも考えの深い労働者なら,あのような(蟹工船のような)労働環境で生計をたてようと考えないし,上司への異議申し立てにしてももっと効果的な方法を考案するでしょう.

単純に言って,「ダメなヤツらが集まった組織はこうなる」 といった感じで,あきらかに労働者側の能力が欠如していることを描いたものとして捉えてしまいました.

なんというか,義務教育を含めた基本的な社会勉強の大切さと,労働に対するポジティブな啓蒙が必要であることを痛感する作品です.
大変な仕事であっても,生き甲斐を持って,希望を持って取り組めることが幸せなんだなと思います.


ところで,
調べてみましたが,実際の蟹工船は小説のような過酷な奴隷環境ではなく,ハードワーク・ハイリターンな格好の稼ぎ仕事であったようです.
短期間に儲けようと思ったら理想的な職だったようで,労働者の満足度も高く,だからこそ盛況したわけですし.
漫画の中では述べられていませんが,彼ら労働者も苦労してる分,ハイリターンな報酬を得てるんじゃないですか?原作ではどうなんでしょうか.
“蟹工船”.現代で言えば,いわゆる夜中の工事現場のような仕事でしょうか.

いつの世もハードワーク・ハイリターンな仕事はあるものです.それに身を投じるかどうかは個人の判断ですし.
その結果,どのような感想を抱いたかは個人の中で消化すべきもの.

ネットカフェ難民やニート達はどのような思いで読んでいるのでしょうか.