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犀の習慣


学生に貸していたスティーブン・R・コヴィー 著『7つの習慣』が返ってきました.

そんな本貸してたっけ?と思いつつ,その本を買っていたことすら忘れており,なおかつ開いてみたけど内容全然覚えていないというありさま.
ここは一つ,ペラペラペラ~,っと付箋を貼ってあった場所や線を引いてある場所を飛ばし読み,適当に流し読みして記憶をたどってみました.

で,思い出しました.
この本の内容は,仏教の聖典である中村元 訳『ブッダのことば』『ブッダの真理のことば・感興のことば』(簡単に言えばブッダ氏による対談本)に書かれていることと非常に似ているのです.

これについては,コヴィー氏が自分自身でも「アジアの人からよく仏教・道教・儒教と似た思想だと言われることが多い」と述べています.ブッダの言葉は比喩表現のオンパレードで,ちょっとオシム元日本代表監督の言葉ような観もあり.「そこまで無理して比喩を使わんでも」っていう表現もありますが,説得力のある説教が並びます.

一切の生き物に対して暴力を加えることなく、
一切の生き物のいずれをも悩ますことなく、
また子女を欲するなかれ。
いわんや朋友をや。
犀 (さい) の角のようにただ独り歩め。
そんなわけで私には彼女がいません.
さすがに友がいないと現代社会やっていけませんけど.しかし,あのブッダ氏のことですから,“友” という概念が常人とは違うのかもしれません.ニルヴァーナを目指してもっと修行せねば...

一方のコヴィー氏は愛の大切さを説きます.
「愛」は動詞ではない.気持ちでもない.愛は行動によって具現化される「価値観」である,と.
大衆ウケするのはコヴィー氏でしょうな.

ですが,プチ仏教徒である私としては,やっぱりコヴィー氏の “ことば” よりもブッダ氏の “ことば” の方がありがたい気がして.コヴィー氏の本はお値段も張りますしね.ブッダ氏の本はリーズナブルです.
こういう自己啓発の本は気分が変わればいいものだと思っていますので.

仏教,犀の角と書いて思い出したのですが,佐々木閑 著『犀の角たち』という本を購入しました.仏教と科学をミックスした非常に面白い本だということです.
どこで知ったのかというと,宮崎哲弥 著『1冊で1000冊読めるスーパー・ブックガイド』の最後に取り上げられてたもので,実際にこの人も熱心な仏教徒.
この人の読書力は半端じゃないことはよく知られており,1日に10冊~20冊の本を読むと言われています.とてもじゃないけど能力的にも経済的にもマネできません.

若き知の巨人であるこの人が大絶賛する本なのですから,結構期待大.
『犀の角たち』まだ読み始めたばかりなので,終わり次第またテーマにして書こうと思います.